【16日の市況】Ibovespa小幅反落、BBの急落が重荷に Marfrigは合併報道で21%超急騰=6週連続でのプラスを達成

 週末金曜日のブラジル株式市場は、全体的に落ち着いた展開となった。主要株価指数のIbovespaは前日比0.11%安の13万9,187.39ポイントで取引を終えた。一時は1%超の下落に見舞われたものの、終盤にかけて下げ幅を縮小。週間では1.96%の上昇を記録し、6週連続でのプラスを達成した。これは2023年10月23日から12月1日まで続いた6週連続上昇以来の出来事となる。

 外国為替市場では、商業ドルが上下に振れたものの、最終的には0.19%安の1ドル=5.669レアルで終了。2営業日連続の上昇に一服感がみられた。将来金利(DI)も朝方は上昇したが、終盤はまちまちで引けた。

 米国市場では、主要株価指数が序盤は方向感に欠けたものの、その後上昇基調を強めて取引を終えた。ただし、ドナルド・トランプ前大統領が「数週間以内に追加関税を他国に対して導入する」と発言したことで、先行きへの不透明感は拭えない。こうした通商政策の揺らぎは、5月の米消費者信頼感指数の低下にも表れている。

鳥インフルエンザ発生、ブラジル産鶏肉に逆風 農相「地域限定で輸出再開目指す」

 市場で注目を集めたもう一つの材料は、リオグランデ・ド・スル州で確認された商業養鶏場における鳥インフルエンザの発生だ。これを受けてEU(欧州連合)やアルゼンチンはブラジル産鶏肉の輸入を一時停止。農業相カルロス・ファヴァロ氏は「状況の全容はまだ不明であるが、リスクが限定的であることを証明し、地域ごとの輸出再開を目指す」と説明した。中国向け輸出の再開には60日程度を要する見通しだという。

 同相は「危機を喜ぶべきではない」としたうえで、「輸出停止により国内の鶏肉価格が下がれば、インフレ抑制に繋がる可能性もある」と述べた。

Marfrig、BRFとの合併で21%急騰 食肉業界に再編の波

 個別銘柄では、Marfrig(MRFG3)が前日比21.35%高と急騰。第1四半期決算とともに、食肉加工大手BRF(BRFS3)との経営統合に関する発表が材料視された。MarfrigはBRFの未保有株式をすべて取り込み、新会社「MBRF」として発足。両社を合わせた直近12カ月の売上高は1,520億レアルに達する。

 一方のBRF株も0.78%高と小幅に上昇したが、取引開始直後は6%超下落する場面も見られた。これは合併に伴う株式交換比率(BRF1株に対しMarfrig0.8521株)がBRF株主にとって不利とみなされたためだ。

 証券会社XPは、今回の取引が「Marfrigの支配株主に有利」と分析。Marfrig株はポジティブ、BRF株はネガティブとした。また、両社による配当支払いを考慮した合併後のシナジー効果は8億500万レアルに留まり、期待値を下回ったと指摘している。

 Bradesco BBIも同様に、合併はMarfrig株に8%の上昇効果が見込まれる一方、BRF株は9%下落する可能性があると分析。ただし、将来の統合効果次第では両社にとっての恩恵も大きくなるとして、投資判断は「中立」を維持している。

サウジの影 BRFとMarfrig統合、SALICの思惑は?

 今回の合併劇には、サウジアラビア政府系ファンドSALIC(Saudi Agricultural and Livestock Investment Company)の動向も注目される。同社はBRF株の約11%を保有する大株主であると同時に、MarfrigのライバルであるMinerva Foods(BEEF3)にも約30%を出資している。

 この合併によってSALICのBRFへの出資比率は約10%に希薄化され、同時にMinervaでも増資による持分比率の低下が見込まれている。

金融株はBB急落で明暗 ペトロブラス・ヴァーレは小幅高

 一方、銀行株ではBanco do Brasil(BBAS3)が12.69%安と急落。第1四半期決算が市場予想を下回ったほか、複数のアナリストが投資判断を引き下げたことが影響した。アグリビジネス関連の貸出金の焦げ付きリスクが意識されている。

 これに対して、Itaú Unibanco(ITUB4)は0.58%高、Bradesco(BBDC4)も0.33%高と堅調だった。B3(B3SA3)は横ばいで引けた。

 資源関連ではVale(VALE3)が鉄鉱石価格の下落にもかかわらず0.07%高と小幅に反発。Petrobras(PETR4)も国際原油価格の上昇を受けて0.47%高となった。

その他の話題:Golの資金調達、Selic見通し引き下げ

 債務再編中の航空大手Gol(GOLL4)は、Chapter11(米連邦破産法11条)からの脱却に向けた資金調達に成功。これを受けて同社株は2.11%上昇した。ただし、今後の株式希薄化リスクを懸念する声も多く、投資判断は依然として慎重な見方が目立つ。

 経済見通しでは、政府の「Prisma」レポートが2025年と2026年の公的債務比率の見通しを引き下げたほか、Itaúは政策金利(Selic)の2025年見通しを14.75%へと下方修正した。

 来週の焦点:IBC-Br(3月分)に注目

 来週は、19日(月)に発表予定の3月分IBC-Br(経済活動指数、GDPの先行指標)が最大の注目点となる。ブラジル経済の成長にブレーキがかかっているのか否か、同指標の結果がカギを握る。しばし成長の息継ぎとなるか。

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