《ブラジル》「神はすべてをご存じよ」=ヘリ墜落直前に母が娘に送信

 【既報関連】昨年12月31日、サンパウロ州のパライブーナでヘリコプターが墜落し、搭乗していた4人全員の死亡が確認された事故で、墜落直前に母娘が携帯電話で交換していたメッセージが公開され、注目を集めている。22日付G1サイトなど(1)(2)が報じている。
 大晦日に消息を立ったヘリコプターの捜索活動の様子は、12日にパライブーナの森の中で機体の残骸と4人の遺体が発見されるまで、連日大きく報道された。12月31日の13時15分にサンパウロ市北部のカンポ・デ・マルテ空港を離陸し、サンパウロ州海岸部のイーリャベーラに向かっていたが、悪天候で視界が悪く、森林地帯の草木に衝突して墜落したとみられる。
 当日は濃い霧が立ち込めており、飛行条件が悪かった。管制塔との交信は、同日の15時10分、離陸した空港から約100キロ離れたカラグアタトゥバ上空を飛行していたときを最後に途絶えた。操縦士は着陸が困難である旨を報告していた。
 墜落の直前、ヘリコプターのプロペラ音がうるさかったためか、同機に乗っていた母ルシアナ・ロゼヴィクスさん(45)と、娘レチシア・アユミ・ロゼヴィクス・サクモトさん(20)は携帯電話でメッセージを交換していた。ルシアナさんは日系人のサクモトさんと結婚し、子供にレチシア・アユミと名付けていた。
 母は娘に「神はすべてをご存じよ。(たとえ神がこのヘリコプターを墜落させるという道をお選びになっても)私は幸せだわ」と神にすがる不安な心境を送信していた。
 その直後、娘は「お母さん、落ち着いて」とだけ答えている。これがメッセージアプリを通じた母と娘の最後の対話となった。G1によると、このやり取りは事故当日の午後2時11分に行われた。航空機がレーダーから消える約1時間前のことだ。機内では墜落の前から緊張感が高まっていたようだ。
 事故の犠牲者はルシアナさん、レチシアさんの母娘以外に、友人のラファエル・トレス氏(41)、操縦士のカシアーノ・テオドロ氏(44)だった。
 カシアーノ氏はこれまでの飛行中に17回以上の違反通告を受け、2022年にはパイロット免許を剥奪されていた。その後、一連の講習を受講し、23年10月に免許を再交付されたばかりだった。
 このヘリコプターは民間航空監督庁(Anac)からエアタクシー事業を行う認可を受けていなかったと報じられている。

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