在住者リポート ペルーは今=日本・ペルー外交関係樹立150周年=記念式典に佳子内親王殿下ご臨席=11月4日 ペルー在住 都丸大輔

日本・ペルー外交関係樹立150周年記念式典においてお言葉を述べる佳子内親王殿下(写真出典:ペルー新報)

 2023年は日本・ペルー外交関係樹立150周年を記念する年であり、関連行事が数多く行われた。
 ペルーでは毎年11月の上旬に日本文化週間が実施され、ガストロノミー・フェスティバル、映画の上映会、漫画、音楽、踊り、囲碁・将棋、漫画、本のミニフェア、JA―POPFestなど様々な日本文化などを楽しむことができ、日本人、日系人はもちろん、多くのペルー人が集まるなどペルーの日系人にとって日本をより身近に感じる月でもある。
 今回は、この日本文化週間の時期に合わせた佳子内親王殿下のペルー公式訪問をうけたペルー日系社会の様子を、日本・ペルー外交関係樹立150周年記念式典の記事から感じていただけたらと思う。
 3日、佳子内親王殿下がペルー日系人協会主催の日本・ペルー外交関係樹立150周年記念式典に出席された。これは佳子内親王殿下のペルー公式訪問における最初の活動であり、ペルーの日系コミュニティの代表者らと集う機会となった。
 ペルー日系人協会のファン・カルロス・ナカソネ会長はこのような重要かつ感動的な機会に際し「佳子内親王殿下のペルー日系人協会へのご訪問は、ペルーと日本を結ぶ友好の源を証明するものであり、大変光栄なことです。本日、私たちは日本・ペルー外交関係樹立150周年を記念する歴史的な瞬間に集いました」と佳子内親王殿下に深く心からの感謝の意を表した。
 また、ファン・カルロス・ナカソネ会長は1873年8月21日東京において日ペルー友好通商航海仮条約が結ばれたことに言及し、この条約によってペルーに最初の日本人が移住する道が開かれたことを指摘した。また、その後、ペルーの日系社会は約125年にわたり、幾多の苦難を乗り越え繁栄し、多様で多元的なペルー社会の建設に貢献し、ペルーに統合されたコミュニティとなったこと、ペルーの日系コミュニティは南米で2番目に大きく、約20万人であることを述べた。
 さらに、ファン・カルロス・ナカソネ会長は「加えて、日本におけるペルー人コミュニティの際立った存在についても言及しないわけにはいきません。これらのコミュニティは、両国の絆を深め、国境を超えた強固な関係を築く能力を反映しています」と強調した。
 続いて、ペルー日系人協会とペルー日系コミュニティを代表し、ファン・カルロス・ナカソネ会長は「この歴史的な記念式典」へのご臨席に改めて感謝の気持ちを込め、佳子内親王殿下に2つの贈り物が贈呈され、ペルー日系婦人会のファナ・アラカキ会長からは花束が贈呈された。
 佳子内親王殿下は日本・ペルー外交関係樹立150周年記念式典の最後に、ペルー日系人協会の理事や日系諸機関の代表者らと懇談された。
 佳子内親王殿下が日秘文化会館の大ホールを後にされる際には、ペルーと日本の国旗を掲げた日系人学校の小学生らが出迎えた。
 午後2時半、佳子内親王殿下はリマ市郊外のベンタニージャ区に位置する日系人の高齢者が入居するエンマヌエル協会の老人ホームを訪問された。

「日系の皆さまとお話できることを大変うれしく思います」

ペルー日系人協会のファン・カルロス・ナカソネ会長から佳子内親王殿下への贈り物の贈呈の様子(写真出典:ペルー新報)

 日本・ペルー外交関係樹立150周年記念式典に出席された佳子内親王殿下は、スピーチにおいて、まず、124年前の1899年、790人の日本人移住者が「佐倉丸」でペルーに到着して以来、日本人移住者とその子孫の方々が幾多の困難や苦労を乗り越え、誠実、勤勉、助け合いの精神で行動し、ペルー社会に貢献し信頼を勝ち得てきたことについて述べられた。
 また、佳子内親王殿下は「1967年に私の祖父母であり、当時の皇太子同妃両殿下、現在の上皇、上皇后両陛下がペルーを訪問され、ここ日秘文化会館の開館式にご臨席になりました。また、私の両親が10年前の外交関係樹立140周年の機会に、私の姉が4年前の日本人移住120周年の機会にペルーを訪問した際には日秘文化会館を含む様々な訪問先で日系の方々に温かくお迎えいただいたと聞いております。私も皆様にお会いすることを心待ちにしておりました」とペルーへの皇族の訪問の歴史について説明された。
 さらに、佳子内親王殿下は「この度の滞在中に日系の皆さまとお話できますことを大変うれしく思います。また、多くの分野でのご活動に触れるとともにペルーの魅力や素晴らしさをより深く知りたいと思います。終わりに皆様お一人おひとりのお幸せとますますのご活躍を、また、日本とペルーの友好関係が一層深まりますことを願い、私の挨拶とします。ありがとうございました。Muchas Gracias!」とペルー訪問における期待の気持ちを表現された。
 佳子内親王殿下はインカ帝国で有名なクスコ、日系人学校のラ・ウニオン総合学校などを訪問され、日本・ペルー外交関係樹立150周年記念第51回日本文化週間における在ペルー日本国大使館とペルー日系人協会主催のコンサートを鑑賞される。佳子内親王殿下のペルーにおけるご滞在は11月8日までの予定となっている。

ペルー日系婦人会のファナ・アラカキ会長から佳子内親王殿下への花束の贈呈の様子(写真出典:ペルー新報)

筆者略歴

 都丸大輔。青森県生まれ東京都育ち、将棋三段、日本語教育能力試験合格。日本では教育委員会の嘱託職員として外国人児童の日本語教育、学校生活の支援に取り組むとともに、スペイン語圏話者向けの個人レッスン専門の日本語教師、スペイン語通訳に従事。2012年からペルーに定住し、個人レッスンを中心とした日本語教育に携わりながら、ペルーにおける将棋普及活動に取り組む。2017年からはペルー日系社会のためのスペイン語と日本語の2カ国語の新聞を発行するペルー新報社(https://www.perushimpo.com/)の日本語編集部編集長に就任。2021年からはねこまど将棋教室の将棋講師として、オンラインでの将棋の普及活動にも取り組んでいる。

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