干ばつで2千年前の岩絵出現=アマゾン川の底から古代遺産

発見された岩絵(24日付エストラ・サイトの記事の一部)
発見された岩絵(24日付エストラ・サイトの記事の一部)

 アマゾン川の主要な支流であるネグロ川とソリモンエス川の合流点に近いポント・ダス・ラジェスで、約2千年前に彫られた岩絵が数十点発見された。これは、アマゾナス州北部で記録的な干ばつが続き、水位が著しく下がったために露出したもので、人間の顔や水、動物が描かれた歴史的遺産に大きな注目が集まっている。24日付エストラなど(1)(2)が報じている。
 16日、ネグロ川の水位は13・59メートルまで下がり、測定が開始された1902年以降、121年ぶりの最低レベルを記録した。岩絵は水中にあったために良い状態で保存されていたと見られている。
 この岩絵は2010年に初めて発見されたが、今年の干ばつは特に厳しく、極端な水位の低下で岩や砂の領域が露出し、再び姿を現したとのこと。
 専門家たちの注目を集めたのは、人間の顔の珍しい描写だ。斧で彫られたやや四角い顔には口があるが、鼻がないものもある。
 国立歴史美術遺産院(Iphan)の考古学者ジャイメ・オリヴェイラ氏は、この岩絵を幸福と悲しみの両方を伝える「複雑なグラフィックアート」であると説明する。一説によると、さまざまな喜びや悲しみの表情は、捕食者と獲物を表しているという。
 あるエリアでは、岩に滑らかな彫刻が施されており、これはヨーロッパ人が到着するずっと前に、先住民が矢や槍を研いでいた場所だと考えられている。
 歴史学者で同機関メンバーのベアトリス・カルネイロ氏は、この歴史的遺産が同地域に居住していた初期の民族を理解するために、「計り知れない価値」を持つと強調した。
 岩絵の出現は専門家を始め、多くの人々を魅了している一方で、同地域の何十万人もの住民が困難な状況に直面しており、そこには明確な対照が存在する。
 27年間マナウス市で暮らすリヴィア・リベイロさんは、「私たちはここに来て、見て、美しいと感じることができるが、多くの住民は困窮している。この川が50年後、100年後に存在しているかどうかも気掛かりだ」と述べた。
 急激に下がった水位により、この地域の交通や生活用水に重要な水路の影響を受けている。普段は活気ある川岸が荒れ地と化し、立ち往生したボートが点在し、政府はこの地域に緊急援助を送った。
 専門家によると、エルニーニョと気候変動の影響により、アマゾンの乾季は今年悪化しているという。

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