ハマスをテロ分類しないブラジル=政権と関係なく国連基準採用

パレスチナはハマスとファタハという対立グループによって支配されている(9日付BBCブラジル・サイト記事の一部)
パレスチナはハマスとファタハという対立グループによって支配されている(9日付BBCブラジル・サイト記事の一部)

 各国がハマスのテロ組織分類について異なる立場をとっている背後には、外交政策や国益に関する違いがあるという。ブラジルの見解について、9日付BBCブラジル・サイト(1)が報じている。
 米国、英国、日本、カナダ、オーストラリア、欧州連合(EU)などの国々は、ハマスをテロ組織と分類している。これらの国々はハマスがテロ行為を実行し、イスラエルに対してロケット弾攻撃などを行っていることなどを理由に挙げている。これらの国はハマスに対して経済制裁などの措置を課す権限を持っており、その立場を明確に示している。
 一方、ブラジル政府は、ハマスをテロ組織とは分類せず、国際連合(UN)の基準に基づいて評価する方針を採用しているという。これは、政権の変更に関係なく一貫性を保った判断といえる。これまでもブラジル政府は、ハマスに対する発言を国際的な場で行っており、例えば、ボルソナロ前大統領は政権期間中に、ハマスやレバノンのヒズボラなどをテロ組織として分類することに賛成する発言をしたことがあるが、方針は変わらなかった。
 ただ、ハマスをテロ組織として分類しないままでも、ブラジルは国際連合でハマスに対抗する立場を表明している。18年12月の国際連合総会でブラジルは、ハマスがイスラエルに対するロケット弾攻撃に対して非難し、ハマスに暴力を放棄するよう求める米国の提案に賛成票を投じている。その際、アメリカの大使はハマスを世界で最も醜いテロリズムの一例と述べたが、提案は2/3の賛成を得られずに否決された。
 英国政府は、ハマスがテロ組織と分類される理由について、「ハマスが無差別にロケット弾や迫撃砲を使用し、イスラエルの標的を攻撃するテロ行為を行なっている。21年5月の紛争では、4千発以上のロケット弾がイスラエルに向けて無差別に発射された」と詳細に説明している。
 一部の国はハマスに対して直接的な支援を行っているとされており、これにより国際的な影響を受け、一致する見解が得られない難しさを示している。

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