【ブラジル日本移民115周年記念特集】移民115周年を迎えて=ブラジル日本都道府県人会連合会会長 市川利雄

市川利雄

 1908年6月18日に日本人がサントスに上陸して115周年を迎えます。今日は「日本人移民の日」として、ブラジル国民が祝福する記念日です。このように、ブラジル社会に溶け込み、その建設と発展に貢献する基礎を築いた先達移民のご苦労に思いを寄せ、その功績に感謝申し上げます。
 県連は、「日本移民ブラジル上陸記念碑」と「ブラジル日本移民開拓先没者慰霊碑(慰霊碑)」を運営・管理し、開拓者の歩みを記憶し、引き継いでいます。
 そして3月28日には、115周年を記念し、サントス市及びサントス日本人会と共にサントス市ロベルト・マリオ・サンチーノ公園内、「プラッサ・ダス・ジェラソンエス(世代広場)」に上陸記念碑(日本移民ブラジル上陸記念碑)を再設置し、除幕式を行いました。
 また、ブラジル日本移民開拓先没者追悼法要が行われるイビラプエラ公園内の慰霊碑(ブラジル日本移民開拓先没者慰霊碑)には、来伯時、皇室ご一家、首相、関係大臣、外交官、県知事、宗教関係者、歌手など、多くの方が訪問くださいます。
 7月7日~9日に行う日本祭りでは、110周年時と同様、会場内で115周年記念式典が行われる予定です。
 今年の日本祭りのテーマは「MOTTAINAI」です。「もったいない」は生活習慣に根付いた日本文化で、近年、注目されているSDGsにつながるものです。ブラジル社会に伝えていきたいと願い、日本祭りで大切にしてきた精神で、今回は企業や団体などの取り組みを紹介するコーナーを設置します。
 さて、日本的な雰囲気を醸し出す県人会の行事や日本祭りに参加することは、自然に日本の文化や習慣にふれることができ、参加者にとって貴重な体験です。そして、この場で過ごした楽しい経験などが日本(文化)や県人会などに親近感を覚えることにつながるのではないでしょうか。
 多くの青年層がこのような催しに参加できる機会を作ることは、県人会の将来の担い手を育成するうえでも大切な取り組みだと考えています。
 そこで、今年の日本祭りには昨年新設したデジタル空間を楽しむ「FJ TAON」に加え、若者の関心が高く、人気のある日本のゲームエリアも用意しています。
 県連では、これらに加え、青年が自主的に、ポッドキャストなどを作成し、日本文化を発信するための県連スタジオや会議に使うスペースなどを提供し、その活動を応援しています。
 移住の歴史が長くなり、世代が進むにつれて、日本や母県との距離をひしひしと感じる機会が増えています。日本文化イベントの開催や人物交流を通じて日伯関係を強くすることは県人会の活動を強化するうえで、なくてはならないものです。
 今年の日本祭りでは、県人会の所有する民芸品などを展示し、紹介すると共にお国自慢や郷土愛を高揚し、母県と県人会との絆を深めるブースを設けます。
 そして、現在、事務所に隣接する旧エスペランサ婦人会のスペースを改装し、会館を持たない県人会の活動拠点として利用するための準備も進めています。
 このような取り組みを通して、母県と連携し、県人会の活性化を図ると同時に次世代を担う青年層の育成に力を注ぎ、ブラジル社会により一層貢献していく所存です。
 最後に、47の都道府県人会を代表して、すべての皆様の健康と平和を願い、私のメッセージとさせていただきます。

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