【ブラジル日本移民115周年記念特集】日本移民115周年記念日に寄せて=サンパウロ日伯援護協会会長 税田パウロ清七

税田パウロ清七

 今を遡ること115年前の1908年(明治41年)6月18日、「笠戸丸」に乗った最初の日本移民781人がサントス港に上陸して今年で115年の歳月が流れました。今や、ブラジル日系社会は約200万人を擁する大きなコミュニティーに発展し、先達の皆様方の幾多のご労苦とご功績に対し、深甚なる感謝の念と敬意を表したいと思います。
 この間の約1世紀余り、ブラジル日本移民及びその子孫たちは農業分野での目覚しい貢献のみならず、工業、商業、政治、芸術・文化、教育等々のあらゆる分野において日本人特有の誠実さと勤勉さと不断の努力によってブラジル社会の発展に大いに寄与し、今日ではブラジル社会にとって、なくてはならない存在として確固たる地位と信頼を築き上げております。
 さて、2020年3月から感染拡大した新型コロナウイルスも収まりつつあり、サンパウロ日伯援護協会(援協)の活動も日系社会の皆様のご協力により、すべての部門において大変意義のある成果を上げております。
 援協グループは現在、医療と社会福祉の2つの事業を展開しておりますが、昨年は「JICA(国際協力機構)助成金交付事業」として日本政府から多大な資金援助を受けることができました。さくらホーム、サントス厚生ホーム、イペランジアホーム、あけぼのホームの4つの老人施設で拡張、改修、設備購入等を実現。日伯友好病院、リベルダーデ医療センター、サンミゲル・アルカンジョ病院の医療施設と、自閉症児療育施設(PIPA)でも新型医療機器の購入や技術革新導入等を実施できましたことに、心より感謝申し上げます。
 また、昨年7月には、サンパウロ州イタペチニンガ市と、市立レオ・オルシ・ベルナルデス博士病院(HLOB)の運営に関する緊急協定を締結。同年11月2日の入札により、今後5年間で1800万レアルの投資計画を見込んだ運営契約を結びました。HLOBは床数186床、職員数650人、医師数170人の規模で、この運営契約の締結は援協が公益社会福祉法人格(CEBAS)取得継続を成すために、大変重要なものでした。
 これにより、免税措置を受け続けることが可能となり、中でも総職員給与総額の20%の雇用者負担金免除措置が得られたことは大きなメリットだと言えます。
 援協は今後も、創立の理念であります⎾社会的弱者の救済援護⏌の精神を忘れることなく誠実な活動を実践し、日系社会のみならずブラジル社会の医療福祉のさらなる発展に貢献できるよう尽力してまいる所存であります。より一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 最後になりましたが、開拓先没者の方々の偉大なる功績は日系社会のみならず、ブラジル社会の中で未来永劫、生き続け、輝き続けるものと強く確信しております。

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