【日本移民の日特集号】日本移民114周年記念日に寄せて=サンパウロ日伯援護協会 会長 税田パウロ清七

税田パウロ清七

 今を遡ること114年前の1908年(明治41年)6月18日、笠戸丸に乗った最初の日本移民781人がサントス港に上陸して114年の歳月が流れました。そして今や、ブラジル日系社会は約200万人を擁する大きなコミュニティーに発展いたしました。先達の皆様方の幾多のご労苦とご功績に対し、深甚なる感謝の念と敬意を表したいと思います。
 この間の約1世紀余り、日本移民及びその子孫たちは農業分野での目覚しい貢献のみならず、工業、商業、政治、芸術文化、教育等々のあらゆる分野において日本人特有の誠実さと勤勉さと不断の努力によってブラジル社会の発展に大いに寄与し、今日ではブラジル社会にとって、なくてはならない存在として確固たる地位と信頼を築き上げております。
 さて、この約2年間は2020年3月からの新型コロナウイルスの感染拡大により、ブラジル全土に甚大な被害もたらしました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に対しまして心よりお悔やみ申し上げます。そのコロナ禍も今年から収まりつつあり、当会でもオンライン活動とともにデイサービス等の対面活動を少しずつ再開しております。
 援協グループは現在、医療と社会福祉の2つの事業を展開しておりますが、特に今年は新型コロナウイルス感染対策支援の一環で「JICA(国際協力機構)施設等整備助成金交付事業」として日本政府から約5500万レアルの資金援助が受けることができ、各傘下施設の増改築整備と新機材の導入等を実施できましたことに、心より感謝申し上げます。
 社会福祉事業分野では、カンポス・ド・ジョルダンの「さくらホーム」、サントスの「厚生ホーム」、スザノの「イペランジャホーム」、グアルーリョスの「あけぼのホーム」の4つの老人施設を運営。4施設合わせて約150名の入居者をサポートし、介護のために160名のCLT(統合労働法に基づいた雇用契約)社員、8名の自由契約職員、53名の外部委託スタッフを雇用しております。
 各老人ホームには、ブラジル日系社会の歴史とともに歩んでこられた多くの高齢の方々が入居し、勇気と強い意志をもって幾多の試練や困難を乗り越え、現在のブラジル日系社会の繁栄を築き上げた方々が安心で快適な老後生活を送っておられます。
 一方、医療事業分野では、日伯友好病院、リベルダーデ医療センター(CML)、サンミゲル・アルカンジョ病院(HSMA)、自閉症児療育施設(PIPA)の4つの部門を運営しており、これらの部門には1994名の職員、19名の自由契約職員、258名の外部委託スタッフを雇用しております。
 援協は今後も、創立の理念であります⎾社会的弱者の救済援護⏌の精神を忘れることなく誠実に実践し、日系社会のみならずブラジル社会の医療福祉のさらなる発展に貢献できるよう尽力してまいる所存であります。より一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 最後になりましたが、開拓先没者の方々の偉大なる功績は日系社会のみならず、ブラジル社会の中で未来永劫、生き続け、輝き続けるものと強く確信しております。

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