【佳子様・日伯130周年・移民117周年】日本移民117周年に寄せて=サンパウロ日伯援護協会会長 税田パウロ清七

税田パウロ清七

 今年はブラジル日本移民117周年を迎え、日伯外交樹立130周年を記念いたしまして、日本の皇室から秋篠宮家の次女・佳子さまがご来伯されますこと、心から歓迎いたします。
顧みますと、1908年(明治41年)6月18日、「笠戸丸」に乗船した最初のブラジル日本移民781人がサントス港に上陸し、今年ですでに117年の歳月が流れました。今や、ブラジル日系社会は200万人以上を擁する大きなコミュニティーに発展し、先達の皆様方の幾多のご労苦とご功績に対し、深甚なる感謝の念と敬意を表したいと思います。
 この間の約1世紀余り、ブラジル日本移民及びその子孫たちは農業分野での目覚しい貢献のみならず、工業、商業、政治、芸術・文化、教育等々のあらゆる分野において、日本人特有の誠実さと勤勉さと不断の努力によってブラジル社会の発展に大いに寄与し、今日ではブラジル社会にとって、なくてはならない存在として確固たる地位と信頼を築き上げております。
 サンパウロ日伯援護協会(援協)の活動も日系社会を中心とした皆様のご協力により、すべての部門において大変意義のある成果を上げております。援協が日系社会をはじめとするブラジル社会で注目され、尊敬される存在となったのは、先人の皆様方のたゆまぬ努力と献身、そして真剣な取り組みによるものです。
 しかし、ここ数年は医療分野での競争が激しく、大手医療保険会社、病院、診断検査クリニックが合併するなど非常に厳しい状況が続いております。我が日伯友好病院もまた、こうした医療業界の動向に苦しみ、当病院のサービスと収益性に影響を及ぼしております。
 そうした中、日伯友好病院では患者のケアと快適性を向上させ、医療業界における競争力を維持するための計画として、病院の隣接地に地下2階の駐車場、中2階(メザニーノ)を備えた6階建ての新しい病棟を建設することを決定しました。
現在、新しい病棟を受け入れるためのインフラはすべて整っており、基礎工事も始まっております。同時に現在の既存の病棟を改修し、病院内における患者の診療の流れを改善するとともに、最も古い病棟は37年前に建てられたものであるため、入院設備を現在の法律に沿ったものにする予定であります。
 援協は今後も、創立の理念であります「社会的弱者の救済援護」の精神を忘れることなく誠実な活動を実践し、日系社会とブラジル社会における援協の知名度を常に向上させるため共に努力し、今後も責任を持って真摯に取り組んでまいります。
 最後になりましたが、開拓先没者の方々の偉大なる功績は日系社会のみならず、ブラジル社会の中で未来永劫、生き続け、輝き続けるものと強く確信しております。

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