第37回武本文学賞5月7日に=ポ語のみ復活、応募者3倍に

『ブラジル日系文学』72号を手に「時代の流れを感じます」と語る武本憲二元会長

 ブラジル日系文学会(桜井セリア会長)が発行する文芸誌『ブラジル日系文学』72号(近藤アンドレ発行)が3月に刊行され、第37回武本由夫文学賞の受賞作品が発表された。編集部を訪れた武本憲二元会長によれば「日本語の応募作品がなくなったため、今回から武本賞はポルトガル語のみになった」という。
 応募者数734人、作品数は合計1822。うち短編小説141、エッセイ65、詩256、ハイカイ272だった。武本元会長は「第35回のポ語作品応募者は230人程度だったので、約3倍に増えたのでうれしい。でも日本語作品がなくなったのは残念」と時代の流れを惜しんだ。
 巻頭言では同文学賞の経緯が振り返られた。19年の第36回を以っていったん終了したが、昨年初頭から再開を求める要望が高まり、今年にポ語部門だけの形で再開する運びになった。《応募者数も作品数も予想をはるかに上回る数であった。この勢いに乗ってこの文学賞が益々注目されるように期待したい》と書かれている。「武本文学賞」はポ語の賞として歴史に名を刻むことになった。
 同文学賞の授賞式は5月7日14時からサンパウロ市リベルダーデ区のブラジル宮城県人会館(Rua Fagundes, 152)で開催される。
 今回の日系文学誌は日本語102頁、ポ語103頁と半々。ポ語部分では同文学賞の受賞作品がずらりと紹介された他、武本憲二元会長の父で同会創立者の武本由夫さんの作品「死灰」やその業績なども掲載された。
 日本語部分では、日本の研究者・細川周平さんが「句めくりを日課として」を特別寄稿、森田幸子さんの随筆「情熱」、空出木さんのブラジル政治雑談「第3次ルーラ政権発足」、奈良在住の阿尾時雄さんによる「ブラジルに言霊を追い求めた一人の歌人」など。
 興味のある人は佐々木マルガリーダさん(11・99527・4125)まで連絡を。太陽堂(11・3207・6367)やフォノマギ竹内書店(電話11・3104・3329)でも販売中。

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