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ブラジルすき家=一号店オープンから13年=ブラジル特有の牛肉事情=(2)

アンガスビーフが販売されている精肉店

 日本とブラジルの牛肉事情における大きな違いの一つは、飼育法による肉質の違いだ。日本ではグレインフェッド(穀物を与えて肥育)の牛肉が多く流通しているのに対し、ブラジルではグラスフェッド(牧草を食べて生育)が8割を占めると言われている。
 グラスフェッドは、脂身が少なく赤身が多い。脂身はピカーニャ以外の部位では食べないと言われるほど、ブラジルでは脂身を食べる習慣がない。
 ブラジルすき家では、グラスフェッド牛に合う牛丼の調理やタレの研究を日夜続け、牛丼にもアンガスビーフをブレンドしているという。

山下敬介取締役

 世界展開するすき家だが、使用する牛肉を選ぶ際の最優先事項は「安全と安心」だ。ブラジルすき家を運営するゼンショー・ド・ブラジルに2010年から赴任した山下敬介取締役(38、福岡県出身)は、これまで仕入れ先の様々な肉の生産工場を視察してきた。
 「ブラジルの工場は大変よく管理されており、使用するアンガスビーフの工場も2020年に稼働が開始し、中規模のため一つ一つの作業が丁寧で、掃除も隅々まで行き届きとてもきれいな印象でした」と、生産現場について振り返る。

冷凍販売されるアンガスビーフのピカーニャ

 現在の仕入れ先であるアンガスビーフの工場管理は、アンガス協会から派遣されたアンガスビーフ認定人2人が監査を行い、トレーサビリティも含めてしっかりと管理されている。
 生産者に対しても8人の技術者と獣医を派遣しており、品質管理に力を入れている。それらがブラジルすき家の「安心と安全」の基準に適していると判断された。
 ブラジルフードサービスの小寺健一氏は「ブラジルの生産者の意識が急速に変化し、『より安全でおいしいもの』『トレーサビリティと牛の品種』を重視するようになっています。これはブラジルの肉業界全体でこれまでにはなかった大きな変化です」と話す。
 ブラジルの牛肉生産量は世界第2位。輸出量は世界第1位で、2016年から年々増加している。一般に、ブラジルの消費者は日本や米国などの消費者と比べてトレーサビリティ意識は低い。しかし、かつては中小規模の畜産業者が個別に生産を行っていたのが、世界最大の食肉会社JBSなどがブラジルの肉業界をけん引するようになり、生産者の方が国外への輸出に向けて国際的な歩調を合わせる必要性を感じ、より敏感になっているという。

3月26日にリニューアルオープンしたリベルダージ店

 山下取締役は「近年では、量だけではなく、更に質を上げるために、飼育法にフィードロット(放牧で育成した牛を出荷前に1〜3カ月囲いに入れ、高エネルギー飼料を与えて十分肥育する)やセミフィードロットを取り入れるところも増えてきています。牛丼をはじめ日本市場向けの肉にはより希望の持てる時代が来ています」とブラジル産牛肉の安全管理、品質向上に期待を寄せた。(続く、取材:大浦智子)

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