ミッシェレ夫人への贈り物か=エスタード紙、高価宝石違法持ち込みを報道=サウジ政府が大臣に託す

 ボルソナロ政権時代に、ミシェレ前大統領夫人に向けられた高価なネックレスやダイアモンドなどの宝石が違法な形でブラジルに持ち込まれそうになり、空港で押収されていた事実を、3日付エスタード紙サイト(1)がスクープした。
 これは2021年10月26日にサンパウロ州グアルーリョス国際空港で起きた。サウジアラビアで開催された国際会議からの帰国便で、ベント・アルブケルケ(当時)鉱山動力相の側近が空港税関で宝石類を押収された。
 税関が押収したのはネックレスやダイアモンドなどの宝石類で、市場価値は300万ユーロ(1650万レアル)と極めて高価なものだった。伯国の法律では、1千ドル以上の価値を持つものは申告が必要だ。
 先に通っていたアルブケルケ氏は押収を知ると税関まで戻り、税関職員と交渉を行った。この時の模様は空港の防犯カメラにも録画されており、アルブケルケ氏は「これはサウジアラビア政府からのミシェレ夫人へのプレゼントだ」と説明していた。宝石は2つの箱の中に入っていたが、同氏は「中を開けていなかったので、何が入っているかは自分たちも知らなかった」と主張した。
 だが、宝石は渡されなかった。アルブケルケ氏は外務省にかけあい、宝石を取り戻そうと試みた。約1週間後の11月3日、外務省は税務局に対し宝石を解放するよう嘆願書を出した。だが、税務担当官は「法に反する」として断り、宝石はグアルーリョス空港の税関に保管されたままとなっている。
 ブラジルの法律では、こうした公式の贈呈品は連邦政府の所有となり、大統領の個人所有はできないことになっている。連邦税務局によれば、国家財産への組み込みには「措置の必要性と適切性を正当化する権限のある当局からの要求が必要」だが、今回はそれがなかったことが問題になっている。
 4日付のエスタード紙の報道によると、前政権は宝石を取り戻そうとする試みを、合計8度行ったという。大統領任期切れ直前の昨年の12月28、29日にも税務局長や大統領府の側近、空軍関係者を使って取り戻そうと試みたが失敗した。
 4日付ポデル360記事(2)によれば、ボルソナロ政権時代の通信相ファビオ・ワインガルテン氏は自分のツイッターで、贈り物に感謝し、法律に従って品物がブラジル政府の公式コレクションに組み込まれることを伝えたサウジアラビアへのメッセージのコピーを公開している。
 ボルソナロ前大統領も「私が求めておらず、受け取っていない贈り物で告発されている。私に違法性はない」と反論。ミシェレ夫人は4日、インスタグラムで「私は全てを持っています。それを知らなかったようですね。あなたたちは現実からかけ離れたところまで来ましたね!私はこの恥ずべきマスコミの根拠のない行動に笑うしかありません」と皮肉るコメントを発した。

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