坂本龍一とブラジルの浅からぬ縁=ボサノバを敬愛、現地メディアがこぞって惜しむ

 3月28日に癌で逝去したことが2日に明らかになった坂本龍一はブラジルとも強いつながりがあり、その死が強く惜しまれている。
 坂本の死に関し、ブラジルの主要メディアは一斉に訃報を出している。フォーリャ紙(1)は「ベルナルド・ベルトルッチやブライアン・デ・パルマ、ペドロ・アルモドバルなどの巨匠クラスの監督の下で映画音楽を担当した」ことを強調。G1サイト(2)などは「テクノ・ミュージックの先駆者」としての側面について深く触れている。
 エスタード紙(3)では、彼が11歳の頃からボサノバに傾倒し、アントニオ・カルロス・ジョビンを、印象派のクラシックの大家、ドビュッシーやラヴェルと並んで敬愛していることに触れている。
 坂本はブラジル人前衛音楽家のアート・リンゼイと友人となったことからブラジルの音楽家たちと親交を深めていき、1995年にはカエターノ・ヴェローゾ、2001年にはジルベルト・ジルとレコーディングやコンサートで共演している。2001年には、ジルと共に、当時のブラジルきってのテレビ司会者だった故ジョー・ソアレスの番組にもトーク・ゲストで出演。今回の死に際しても、その時の動画が拡散されている。
 2002年にはかつてのジョビンのバンドメンバーたちとジョビンのカバー・アルバム「カーザ」を制作。2012年には音楽フェスティバル「ソナー」で、2017年にはサンパウロ市の「ジャパン・ハウス」のこけら落としのコンサートで来伯している。
 2日、カエターノ・ヴェローゾは坂本の死に対し、ツイッターで哀悼の意を示した。その中でカエターノは、「坂本には若い頃からどこか中性的な魅力があって、それがブラジル人を魅了し驚かせていた」「彼と知り合え、良き友人となれたことを誇りに思う」と語っている。

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