『「日系」をめぐることばと文化』刊行=日系人研究の成果を詳細紹介

『「日系」をめぐることばと文化―移動する人の創造性と多様性―』(松田真希子/中井精一/坂本光代編)表紙

 くろしお出版社は昨年10月4日、『「日系」をめぐることばと文化―移動する人の創造性と多様性―』(松田真希子/中井精一/坂本光代編)を出版した。全13章、229頁。教授や専門家が「日系人」に注目して行った研究や調査の結果を詳細に紹介している。
 著者の松田真希子金沢大学教授と岡田浩樹神戸学院大学教授は、ブラジルでの日本語教育の研究のため、昨年8月に2週間ほど滞伯した。その際に編集部を訪れ、「日系人は無自覚にとてもすごいことをしている。そのことを分かってほしい」と語っている。
 第1章「南米日系日本語教育の創造性と多様性」では、日系移民の歴史に触れつつ、教育的トランスランゲージ(TLP)などの観点から南米の日本語教育の特徴を解説。
 第2章「ケイショウゴ教育の変遷について」では、南米とオーストラリアで行われている日本語教育の違いやオーストラリアの日本移民の歴史を語る。
 第3章「『違い』の感覚を生きる」では、ソロカバで日本語教師をしている長谷川アレサンドラ美幸さんと早稲田大学教授の福島青史さんによる対談が書かれている。2人とも世界を「移動」しながら生きてきた経歴を持つもの同士だ。
 第4章「多様化社会のファミリー・ランゲージ・ポリシー」では、ブラジルの日系人保護者が、子供へどんな教育を施しているのかなど家庭環境を紹介している。
 第5章「日系4世の継承語・文化保持の可能性」では、ブラジル日系人の日本語保持能力の高さ、日系人がどのように日本語を学んだかを紹介している。
 第6章「ニッケイ・アイデンティティについて考える」では、世界各地の日系人が、日本留学を経験して感じたことや彼らの意識の変化について書かれている。
 購入方法などの詳細は、くろしお出版社サイト(https://www.9640.jp/book_view/?914)まで。

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