サンパウロ市役所=東洋街に巨大広場の建設計画=東洋文化を発信するスペース=リベルダーデ・エスプラナーダ

ラジアル・レステ道にフタをして広場を作る(市企画書より)

 サンパウロ市役所が、リベルダーデ区のコンセレイロ・フルタード大通りからリベルダーデ大通りの間にある四つの橋の下のラジアル・レステ道にフタをする形で、新巨大広場を作る計画を発表した。同広場は日本現代建築をモチーフとし、1万2千平米の敷地内にショッピングセンター、展示広場などを設ける。工事の開始、終了日程や予算は未定。企画名は「リベルダーデ・エスプラナーダ(遊歩道)」とされていると昨年12月29日付エスタード紙が報じた。

 同企画に関して、リカルド・ヌネスサンパウロ市長は「東洋の文化、商業、美食、レジャー、観光、サービス業を兼ね備えた、(日本以外で)世界最大級の東洋文化の巨大広場を作る」と強調している。
 コンセレイロ・フルタード大通りからリベルダーデ大通りの区間は観光客が多く、新広場を作ることで観光客増加のみならず、周辺のレストランや商業施設の活性化の期待がされている。
 巨大広場はリベルダーデ大通りを最高点として高低差は約20メートルになる予定。同広場は上部、中部、下部と分けられる。上部はリベルダーデ大通りとガルボン・ブエノ街の間に位置し、ショッピングモールが建てられ、商業に特化した部分となる予定。
 中部はガルボン・ブエノ街とグロリア街の間に位置する。レストラン、屋台などの東洋食文化に特化した区域になる。その他にもラジアル・レステ通りの眺望を楽しめる展望台も作られる予定。
 下部はグロリア街とコンセレイロ・フルタード大通りの間に位置し、野外イベントの開催場所となる予定。展示エリアや文化、科学などに触れられ、上部からも眺めることが出来る。

完成予想のイメージ(市企画書より)

 同企画の具体的な建築モデルや詳細(https://www.prefeitura.sp.gov.br/cidade/secretarias/governo/desestatizacao_projetos/esplanada_liberdade/consulta_publica/index.php?p=336486)はインフラ承認プロセス(PMI)を通して1月15日までに決められる。
 広場建築の背景には、1970年代の日本風街頭の設置、2008年のリベルダーデ広場周辺の景観改善工事、2018年の地下鉄駅名「Japao―Liberdade」への改称で観光客が増加したことから、同様の効果を期待する狙いがある。
 日本移民100周年の頃から同様の企画が日系社会側から何度も立ち上げられてきたが、資金問題から立ち消えになっていた。今回は市役所が企画をしているだけに実現への期待が高まっている。
 ただし、同企画には批判の声も上がっている。黒人運動の賛同者らは地下鉄駅名が「Japao―Liberdade」へ変更されたことで、他民族のアイデンティティが抹消されていると批判しており、今回の企画にも否定的だと報じられている。

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