反民主主義的暴挙=計画的な犯行の痕跡顕著=DFの治安関係者も逮捕=新たな行為に対する警告も

支援者や扇動者も罰すると語るモラエス最高裁判事(Marcelo Camargo/Agencia Brail)
支援者や扇動者も罰すると語るモラエス最高裁判事(Marcelo Camargo/Agencia Brail)

 【既報関連】8日にブラジリアで起きた反民主主義的暴挙は計画的な犯行であった事を示す痕跡などが明らかになる中、最高裁が連邦直轄区(DF)元保安局長と元軍警指揮官の逮捕を命ずるなど、厳格な取り組みが進んでいる。また、新たなデモが予定されており、各地で警備が強化されていると10~11日付現地紙、サイトが報じた。
 8日の反民主主義的暴挙は発生直後から、治安当局の怠慢、不作為などが指摘され、連邦直轄区の治安面への連邦介入や知事停職などが起きていた。10日には元保安局長のアンデルソン・トレス氏と当日の警備を担当していた軍警元指揮官のファビオ・アウグスト・ヴィエイラ氏への逮捕命令も出た。
 イバネイス知事の停職命令などはアレシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事の司法判断で、最高裁は11日の大法廷で司法判断の妥当性を確認。知事の90日間停職とトレス氏らの逮捕が確定した。
 トレス氏やヴィエイラ氏、イバネイス氏に関する判断は8日の暴挙発生を許した警備上のミスや怠慢、不作為などが原因で、前大統領支持者らの行動を黙認し、容易にした可能性や、暴挙回避に不可欠な情報や証拠の隠蔽も疑われている。
 フラヴィオ・ジノ法相は9日、週末にDFの治安担当者と行った会合以後、警備体制の変更があり、前大統領支持者達が三権広場に入るのを容易にしたと指摘。テロ行為開始から統制を取り戻すまでは1時間半程度で、警備体制の変更が暴挙を許したとしていた。
 当日の記録にはヤシの水を飲んだり、侵入者と共に写真に収まったりした警官の姿もあり、暴徒達がさしたる邪魔もされずに施設に侵入した事を示している。逮捕者の中には脱出を助けようとした治安担当者がいたと語った人物もいるという。
 トレス氏は事件直前に休暇をとって米国滞在中で、10日は家宅捜査のみで終わった。本人は同日、早急に帰国し、出頭する事を約束した。
 他方、連邦政府は別の抗議行動が計画されているとの情報を得、警備体制強化などの犯罪行為防止策を要請。全国規模のデモが計画されているとされる11日は、総弁護庁(AGU)と連邦検察庁(PGR)が改めて、公共施設保護と幹線道や高速道の封鎖回避措置をとるよう最高裁に要請。最高裁がこれらの行為を禁ずる命令を出した他、DFの治安監督官のリカルド・カペリ氏もテロ行為再発はないと約束した。
 なお、ブラジリアで逮捕された前大統領支持者1261人は刑務所に移送されたが、高齢者や子連れ女性ら599人は釈放された。逮捕者や軍施設前で軍介入を求めていた人達のやり取りには「ブラジリアを包囲し、体制を崩壊させよう。盗まれた権力を取り戻すんだ」といった言葉もあり、今回の暴挙が以前から計画された組織的な犯行であった事などが明らかだという。
 なお、8日は首都での暴挙以外にも幹線道路の封鎖や製油所の車両通行妨害などが起きており、首都での行為も含めた首謀者や資金面などでの支援者の特定作業も進行中だ。10日には支援者や支援企業の資産凍結命令が出た上、50人以上に逮捕状を要請する可能性が示唆されており、11日にはテロ行為を組織したとされる女性1人を逮捕と報じられた。
 法務省が9日に設けた反民主主義的な行為を告発するためのメールには、たった1日で5万件を超える情報が寄せられたという。

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