《ブラジル》フルナス渓谷崩壊事故「誰の責任でもない」MG州知事が見解述べる

ゼマ知事(Paulo Vitor Chagas/Agencia Brasil)

 【既報関連】ミナス・ジェライス州カピトーリオ市の観光地キャニオン・デ・フルナス渓谷で起き、死者10人を出した崖崩壊事故に関し、同州のロメウ・ゼマ知事が10日、「地質学的な調査を行う」との発表を行った。10、11日付現地紙、サイトが報じている。
 これはこの日、同州のサンジョアン・バチスタ・ド・グローリアで行われた共同記者会見の席で明らかにされたものだ。
 ゼマ知事はキャニオン・デ・フルナス渓谷で、地質学の専門家などによる調査、分析を行う意向を表明した。同地の調査は市警や海軍が中心になって行う予定で、それまでは、同州有数の観光地でもある同キャニオンでの観光は停止されることになる。
 同知事は同時に、「私は専門家ではないが」と前置きしながらも、「今回の事故は誰の責任でもなく、予測不可能なものだった」との考えを表明し、特定の人に対する責任追及を行う意思はないことを明らかにした。
 同知事は、「雷が起きて事故が起きた場合、誰の責任になる? それと同じことで、今回の事故も防ぎようがない。このような崩壊事故は何百年も起きていなかったのだから」と偶然を強調した。
 ただし、同渓谷の崖が崩壊する危機性があることは10年以上前から指摘されていた。また、この渓谷はフルナス水力発電所の貯水池の一部だが、同発電所は今回の事故に関し、「湖の管理や観光事業は海軍の管轄だ」との見解を表明し、自分たちには責任がないとの判断を示している。
 ゼマ知事はこの前日に死者10人、負傷者32人への賠償金問題に関し、「それはあり得る話だ」との見解を見せていたが、「しかし、誰に責任があり、誰が払うことになるのか」と疑問も呈していた。
 同地での観光に関して、同知事はさらに、「最大限の注意を払わなくてはならなくなる」と前置きした上で、「再び観光地となることは可能だ」と前向きな返答を行っている。
 事故が起きた渓谷は、広大な貯水池のほんの一部。それ以外の地区は観光地として通常通りの営業を続けている。

最新記事