「どこにいても同じ被爆者」=松村南米被爆者健診医師団長が講演

講演する松村氏(左端)

 放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)による被爆者医療研修会が、1日午後2時からサンパウロ市パルケ・ノボ・ムンド区の日伯友好病院6階「山本恵一講堂」で開かれ、同病院関係者など約60人が参加した。
 研修会では、南米被爆者健診医師団団長で広島県医師会会長の松村誠氏らが「被爆者は今~被爆77年~」などをテーマに講演を行った。
 研修会を前に日伯友好病院の岡本セルジオ院長があいさつし、「世界が核の脅威にさらされている中で、過去の知識を通じて将来の子弟たちが原爆のことを知ることが大切」と述べ、日本からの医師団の来伯に感謝の気持ちを表した。
 松村氏はパワーポイントを用いた自身の講演で、広島・長崎の原爆被害と2011年3月に発生した東日本大震災の被害を比較して説明。「津波は自然災害だが、原爆は人間が落としたもので事前に防ぐことができた」と述べ、「広島の医師の原点は被爆者救済に命を捧げたこと」と強調した。
 今年3月現在、被爆者健康手帳を所持する被爆者は12万人を切り、平均年齢は84・5歳と、その数は年々減少しているという。また、健康診断受診者が減少する一方、長期の介護が必要な被爆者が増加しているそうだ。
 韓国をはじめ、北米・南米などに住む在外被爆者の減少も顕著で、2022年現在の在外被爆者数は計2658人。そのうち、韓国1889人、アメリカ592人、ブラジル76人などという数字が示された。
 松村氏は「被爆者はどこにいても同じ被爆者。同じ医療支援を続けます」と強調し、講演を締めくくった。

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