連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第63話

 大阪では万博会場、大阪城、水族館、その他の観光を楽しみ、大歓迎を受け、お互いの健康を確かめ合った。又、美佐子は熊本の同級生が数人大阪に住んでいて、その友達とも過ごした。金子亮一ちゃんは私の父、弥吉の妹ふさえの長男である。彼もこの大阪に住んでいて、彼の弟の国雄も一緒に会えて嬉しかった。又、ブラジルの私のパトロン森田正行さんの娘婿の秋山敬一さんの母堂も大阪に住んでいるとのことで電話したら、港製器まで訪ねて来て下さった。白髪ながら元気そうだった。
・四月二十日(日) 日帰りで奈良の天理の此花詰所に行き、田辺会長に夕食に招待され、カナダ、バンクーバー教会の人達とも会い、楽しく語り合った。
・四月二十一日(月)~二十二日(火) 大阪―高知―大阪と二日間の高知訪問を行った。
  低空を飛ぶプロペラ機から見下ろす四国は本当に山の多い国である。高知では私達のブラジルの親友、谷脇さん兄弟のふるさと葉山村を訪ね、私達のパトロンのふるさと高岡町など訪ね歩いた。須崎町では谷脇源次郎さんの奥さん注文の釜(飯たき)を買った。ここで驚いたのは山奥の農村の谷底までも道路がアスファルトで舗装されていたことであった。それと外出するにも戸締りなど全然せずに出て行く治安の良さがうらやましかった。パトロンの森田さんの母堂は九十才で元気であった。森田さんの妹の吉本つねさんは旅館を経営していて、そこで大切りのかつおの刺身をごちそうになった。
・四月二十三日(水) 最後の天理参りで夜はぬいばあちゃんの家で六人(政子さんも一緒に)が雑魚寝する。
・四月二十四日(木) 京都駅より新幹線で東京へ。藤本信行さんの車で府中市の美佐子の長姉、池上亮子(夫の昭男さんは私達のいとこ)の家に着き、夜中まで語り合う。美佐子の三番目の姉、藤本裕子さんが自分で車を運転して、横浜から府中までよく来てくれたねと、皆で労をねぎらった。
・四月二十五日(金) 亮子姉の案内で新宿の三井ビル五十四階で昼食。すばらしい眺めである。そこから千葉で信代姉に会い、千葉の姉弟訪問が始まる。
・四月二十六日(土) 苗代信代姉は私の二番目の姉で、主人の茂さんとの間に実(二十一才)、みさお(十九才)とみち(十才)の、一男二女があり、茂さんは病弱で生活は大変なようであるが、田舎の自分達の家に住んでいて、何とかやっている様だ。長男、稔は東京工業大学に学び、次女のみちは大学準備中である。
・四月二十七日(日) 信代姉宅を出て、私のすぐ上の姉、大近谷弥栄香(絹枝)の家に行く。途中、私のすぐ下の弟、三美の二階建ての新築家を見に行く。庭付きのこじんまりとした、立派な家である。午後三時に弥栄香の家に着き、長女の芳枝のお祝いも済ませ、三美の家族も来てにぎわう。

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