《サンパウロ市》創立137周年の名門校が廃校=クラコランジアの拡大被害で

 サンパウロ市内の麻薬常用者の巣窟「クラコランジア」の拡散により、同市中央部にある名門校が廃校を決めた。17日付現地サイトが報じている。
 廃校を決めたのはカンポス・エリーゼオスにある「リセウ・コラソン・デ・ジェズス」校だ。同校はクラコランジアに近いため、治安悪化で転校する生徒が後を絶たず、生徒数減少が続いていた。学校側も「これ以上、安全は保証できない」との結論に至った。
 廃校の知らせは8月上旬に父兄に対して行われた。同校は年末までの経営となり、2023年からは学校としての活動は行わず、ゴミ回収業者などの施設にするなどの社会活動の場として機能するようになるという。
 同校は共和制施行前の1885年に、ときのイザベル王女の協力のもとに作られた、開校137年の由緒ある学校として知られていた。卒業生には黒人俳優の先駆であるグランデ・オテロやボサノバ歌手のトッキーニョがいる。
 多いときには3千人以上の生徒が通う学校だったが、ここ20年はクラコランジアの拡大に悩まされ、2009年には1万7千平米の敷地に288人の生徒と報じられていた。
 同校は、今年に入ってから行われたクラコランジア一掃作戦で麻薬常用者の多くが集団移動したイザベル王女広場から2区画離れた場所にある。同広場では5月にも常用者掃討作戦が行われたが、学校近辺でも麻薬常用者がたむろする状態が続き、学校運営も困難になっていたという。

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