《ブラジル》アマゾン失踪事件=上院が外部臨時委員会設置=北部での犯罪急増防げるか=過去の事件に学んでいれば

上院外部委員会(左からトラド、ロドリゲス、コスタ上議、Pedro França/Agência Senado)

 【既報関連】アマゾナス州ヴァーレ・ド・ジャヴァリ地区で起きた英国人ジャーナリストのドム・フィリップス氏とブラジル人先住民活動家のブルーノ・ペレイラ氏殺害事件を受け、上院が20日、北部での犯罪行為や襲撃増加に関する外部臨時委員会を開設と20、21日付現地紙、サイトが報じた。委員長はランドルフェ・ロドリゲス氏(レデ)、副委員長はウンベルト・コスタ氏(労働者党)、報告官はネルシーニョ・トラド氏(社会民主党)が務める。
 今回の失踪・殺害事件は国内外に大きな波紋を投げかけた。だが、法定アマゾンが組織的な犯罪行為が横行する場所となっている事を示す一例に過ぎない。
 この事は、19年にアマゾナス州タバチンガで起きた国立インジオ保護財団(Funai)職員でペレイラ氏の元相棒のマクシエル・ペレイラ・ドス・サントス氏殺害事件が未解決である事でも明らかだ。マクシエル氏はペレイラ氏からの信任を得て、ジャヴァリ地区監督官も務めた。
 同件の遺族達が連警に提出した並行捜査の報告書には、殺害犯らに払われた金額や事情聴取に応じられる証人らの名前と、殺害事件の裏幕はルーベンス・ヴィラル(通称コロンビア)というペルー人の2重国籍者を軸に動く密猟者や密漁者、金採掘人、製材業者である事が記されている。
 だが、連警は報告書を受領後も口をつぐんでいる。遺族達は「同件が解決していれば、その後も続く脅迫や殺害といった事件は防げたはずだ」と言う。
 現政権に入ってからは先住民活動家や環境活動家、先住民への脅迫、殺害や先住民居住地での犯罪行為が増えており、国外に逃れたFunai職員さえいる。
 失踪事件の捜索にも協力したヴァーレ・ド・ジャヴァリ先住民連合(Unijava)関係者は「誰に向かって叫べと言うんだ。誰が聞いてくれるんだ」との表現で二人の死を嘆き、窮状を訴えた。
 上院外部委員会は22日にアンデルソン・トレス法相やUnijava代表の証言を聞いた後、事件後にタバチンガに飛び、捜査継続の意向を示したアウグスト・アラス検察庁長官やマルセロ・シャヴィエルFunai総裁らも招く意向だ。
 同総裁はペレイラ氏を解任した人物だ。同氏の働きは解任後により活性化。脅迫の度合いも増していた。

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