【日本移民の日特集号】世界のウチナーンチュ大会10月=コロナ禍乗り越えた世界の仲間=沖縄現地で感動の再会へ

第7回世界のウチナーンチュ大会のチラシ

 第7回世界のウチナーンチュ大会が10月30日から11月3日まで沖縄県那覇市で行われる予定だ。30日は前夜祭で、31~3日は本大会となっている。同大会は5年に一度行われ、1990年から続いている。前大会では42万人もの来場者が参加した。沖縄からの移民の歴史は1900年ごろから始まり、現在ではアメリカ大陸を中心に世界各地に大規模な沖縄系コミュニティを形成している。その有志が一堂に会する大イベントで、ブラジルからだけでも毎回1千人以上が参加する。

沖縄を離れても絶えないチムグクル(思いやりの心)

 沖縄県出身移民の先駆者は1899年に沖縄を離れ、1900年にアメリカ合衆国ハワイ州のオアフ島にてサトウキビ耕地で契約移民として働き始めたとされている。それ以降の38年まで7万2134人が移住し、1940年当時の沖縄県民の人口比で、その約12%もの大人数が海外へ移住した。
 さらに第2次世界大戦後、沖縄は72年までアメリカに統治され、引揚者の流入による過剰人口とアメリカ軍基地化による農地不足から、沖縄での生活が困難なものとなり、戦前移民からの呼び寄せや琉球政府による移住政策の推進により、戦後移民が促進された。
 海外へ渡ったウチナーンチュ(沖縄県人)の暮らしは、とても過酷なものだった。だが、当時の非常に貧しかった沖縄に残った家族を支えるため、移民先の重労働で稼いだ収入を、沖縄の家族を支えるために送金した。加えて戦後、焼け野原となった沖縄にいち早く救援物資を配送するなど、苦境に面した母県を支援したのは、世界に移住したウチナーンチュだった。
 戦前はハワイやフィリピン、ブラジルなどへ多くの移民が渡り、戦後はブラジルやアルゼンチン、ボリビアへの移住が増えた。その中でも戦後のボリビア移民計画でオキナワ移住地が有名だ。

世界各地から繋がる強い絆のイーチュー(糸)

 2016年の沖縄県交流推進課の推計値によると、海外には約42万人ものウチナーンチュ(沖縄県系人)がいるとされ、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、ボリビアなど南米全体で約25万人、アメリカなど北米に約10万人の他、欧州や中国、オーストラリアなど世界の五大陸すべてにウチナーンチュがいるとされている。
 「世界のウチナーンチュ大会」は、世界に広がるこのようなウチナーンチュの繋がりを確立し、発展させることを目指して始まった。
 過去6回の大会では、ウチナーネットワークの構築、双方の社会・経済の発展や活性化、国際交流拠点の飛躍、ネットワークの継承・深化・拡充、新たなネットワークの展開、持続的な継承・発展等を目指し、「ウチナー民間大使」制度の発足、WUB(世界うちなーんちゅビジネスアソシエーション)の設立、ジュニアスタディーツアーの実施、ホストファミリーバンクの発足、県民の式典参加や、世界若者ウチナーンチュ事務局の立ち上げといった成果を生み出してきた。
 さらに、第6回の大会では海外29カ国・地域から7353人が訪れ、入場者は43万人を超えた。海外来場者のうちブラジルは常に1千人を超えるほどの大人数を誇り、ブラジルのウチナーンチュの勢いを見せつけている。
 今回の「第7回世界のウチナーンチュ大会」ではさらなる発展が期待される中、コロナウイルス感染防止の配慮を行い、同大会に直接参加ができない国内外のウチナーンチュにも、自分が住む場所で参加できるような企画が考えられているという。那覇現地に行けるかどうかに関わらず、世界に散らばるウチナーンチュ一人一人が大会に関り、コミュニティ全体のつながりを深めるイベントになりそうだ。

大会のスケジュール

 那覇で行われる前夜祭では午後2時50分からパレード式典が行われ、国際通りにて「前夜祭パレード」、パレード終点地点にて「パレード交流会」、市内ホテルにて「歓迎レセプション」が行われる予定。
 翌日の31日は沖縄県市町村自治会館にて午前10時から正午まで海外功労者表彰式が行われ、沖縄セルラースタジアム那覇では同日、盛大な開会式が午後4時から行われる。
 最終日の11月3日同スタジアムにて午後5時から閉会式・グランドフィナーレが行われる。
 沖縄セルラーパーク那覇では10月31日、11月1、3日にうまんちゅ大交流祭が行われ、はいさいステージ、カルチャーワークショップやワールドバザールなど文化的な内容が盛りだくさんだ。2日は市町村の日として、各市町村に歓迎・受入イベントの実施を依頼中とのこと。
 大会では現代沖縄音楽や沖縄現代舞台劇など披露される。さらに琉球舞踊やエイサーなどの伝統的なもの他に、沖縄県系人社会や沖縄と海外の関係についての学術シンポジウムや、海外の沖縄県系人の居住地の物産展など幅広い内容が準備される。
 前回の2016年開催の第6回大会では、開会式で夏川りみ、ネーネーズなどが、閉会式ではビギン(BEGIN)、ディアマンテス、大城バネサなどゆかりのある沖縄出身の有名歌手のショーも行われた。

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