《ブラジル》ボルソナロがロシア問題に沈黙続ける=「プーチンはヒトラー」と厳しく批難した副大統領を否定

24日のライブ(Facebook)

 ボルソナロ大統領が、24日に起きたロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関して沈黙を保っている。大統領は16日にロシアを訪れた際、「ロシアへ連帯を示したい」と発言しており、国際社会からロシアを批判するようにとの圧力が高まった24日も、モウロン副大統領がこの問題について発言することを禁じただけで、発言を避けている。24、25日付現地紙、サイトが報じている。
 ボルソナロ大統領が米国政府の反対を押し切ってロシアを訪れ、連帯まで示した言動は国際社会に波紋を投げかけた。また、連邦政府側も対応に追われている。外務省は西側諸国に対し、ボルソナロ氏の発言がブラジルのロシア問題の真意ではないことを弁明している最中だ。
 同件では国際的にも、ブラジル側の意図を掴みかねるという混乱が生じている。アミウトン・モウロン副大統領は24日朝、ロシアのウクライナ侵攻を厳しく批判し、プーチン大統領を「ヒトラーだ」とさえ呼んだ。また、米国や北大西洋条約(NATO)などの西側諸国が武力を行使してでも侵攻を食い止めるべきだとの踏み込んだ意見を表明した。
 他方、ロナウド・コスタ・フィーリョ・ブラジル大使は、21日に行われた国連安全保障緊急理事会で、「ロシアはすぐに武装解除するべき」との発言を行っている。外務省も「大いに心配している」との見解を表明。連邦政府側も、ボルソナロ氏の発言のままでは国際孤立や経済への打撃が大きいことを恐れている。

 だが24日は1日中、ボルソナロ氏の口からはロシアへの言及は行われなかった。ボルソナロ氏はこの日、サンパウロ州のサンジョゼ・ド・リオ・プレット市とサンパウロ市の二つのイベントに参加し、スピーチの場も設けられていたが、そこではこの問題に一切触れなかった。
 大統領は午後になってツイッターでようやくウクライナの件に触れたが、「ウクライナ在住の伯人たちの保護に全力を尽くしたい」とし、「首都キエフにある大使館は500人ほどの伯人を受け入れ、保護できる状況にある」とだけ表明した。
 だが、その直後には、外務省と在キエフ大使館から、「今、ウクライナ在住のブラジル人を帰国させたりする状況にはない」との声明が出されている。
 ボルソナロ大統領は、24日の夜行われた毎週木曜恒例のライブで、モウロン副大統領が行った発言を厳しく批判。「ウクライナ問題に関して決めるのは自分」として、「モウロン副大統領の発言を認めない」とも語った。だがこの場でも、ボルソナロ氏の口から、ロシアや同国による軍事侵攻に対する意見や批判は最後まで聞かれなかった。

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