米ヒューマンライツ「ボルソナロは民主主義の脅威」=「選挙を疑い、司法を攻撃」とも=人種差別や警察の問題に至るまで

ボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 ニューヨークに本部を置く国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)が、ボルソナロ大統領がブラジルの民主主義を脅かしていると警鐘を鳴らす報告書を発表した。13日付現地紙、サイトが報じている。
 これは、13日にHRWが公表した報告書によって明らかになった。同報告書は国際的な民主主義の危機についてまとめたものだ。
 HRWのケネス・ロス会長は、「権威主義支配者が市民の利益より自分の利益を優先するときは、キューバから香港に至る諸国で、不満を抱いた国民による街頭での抗議活動が起きた。権威主義者たちは選挙で選ばれたリーダーよりも国民のためを思っていると主張するが、実際は自分たちの利益を最優先し、投票で追い出されないよう選挙制度を操作し始める」とし、「人種差別主義や性差別主義、同性愛嫌悪などを訴え、注意をそらそうとする」と語っている。
 同会長はブラジルにも触れ、ボルソナロ大統領が「選挙制度を疑い、司法の独立性や自由を脅かしている」と報告した。これは、ボルソナロ氏が昨年、不正の証拠がないにもかかわらず電子投票を疑い、投票結果の印刷付電子投票(ヴォット・インプレッソ)を求めたことや、9月7日の独立記念日に支持者たちをブラジリアの三権広場に侵入させ、最高裁批判のデモを行わせたことなどを指している。
 この報告書では、チリのミチェレ・バチェレ元大統領が委員長を務める国連人権委員会のデータも参考にしている。バチェレ氏は昨年6月、「ブラジルでは警官による黒人に対する暴力行為が急増中」との報告を行っていた。HRWは、ブラジル警官に殺された犯罪者の80%は黒人だったと指摘している。

 さらに、ブラジルでは環境監査が弱体化し、先住民や環境活動家に対する威嚇行為や暴力行為を伴う形の森林伐採が増えたとし、(ボルソナロ政権発足後の)2019年と20年は、環境犯罪に対する罰金額が過去5年間の平均を93%も下回ったと伝えている。
 HRWはブラジルの刑務所の現状にも疑問を投げかけている。ブラジルでは20年末現在で約67万人が服役していたが、これは収容人数の上限を47%以上超えている。また、刑務所の収容者中の延べ92万8千人が新型コロナに感染し、582人が死亡したとしている。
 HRWは、コロナ禍による移民の扱いの変化も問題視している。ブラジルには21年10月現在、ベネズエラ人が25万人以上いるが、2019年に国境を越えようとして国外追放された人は36人だったのに、20年は2千人を超え、21年も7月までで1198人を記録したという。
 ブラジルではボルソナロ氏や現政権閣僚も含む支持者によるジャーナリスト攻撃が多く、女性殺人などの問題もたびたび浮上している。
 同報告ではブラジル以外にもチェコやイスラエル、ハンガリー、トルコなどの独裁性の強い国をとりあげており、「いずれの国でも体制打倒のための野党連合が組まれている」と報じている。

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