《ブラジル》被選挙権なく自宅軟禁中なのに大統領選出馬発表=マシンガンを抱えて最高裁を威嚇のジェフェルソンPTB党首

ジェフェルソン氏(Twitter)

 ブラジル労働党(PBT)は1日、ロベルト・ジェフェルソン党首の大統領選出馬発表を行った。同氏はメンサロン事件の実刑判決で被選挙権がなく、同日も別件逮捕で自宅軟禁の状態での波乱の発表だった。1、2日付現地紙、サイトが報じている。
 ジェフェルソン氏の大統領選出馬は多くの人に驚きを持って迎えられた。同氏の出馬はこれまで全く予想されておらず、大統領選の世論調査でも一度も対象とされたことがなかったためだ。
 それに加え、同氏は昨年8月、マシンガンを抱えて最高裁を威嚇する写真を拡散したなどで、最高裁管轄の「ネット犯罪者」捜査で逮捕され、現在も電子足輪をつけて自宅軟禁の状態にある。このため、1日にブラジリアで行われたPTBの党大会には参加できなかった。
 また、2005年に労働者党(PT)政権が連邦議会の支持取り付けのために連立政党に贈収賄工作を行っていた「メンサロン」を暴露したことでも知られるジェフェルソン氏は自ら収賄で7年14日の実刑判決を受け、2012年から服役。2019年に出所したが、フィッシャ・リンパ法では刑期終了から8年を経過しないと被選挙権が回復しないため、2027年まではいかなる選挙も出馬できない状況にある。
 それでもジェフェルソン氏が出馬に踏み切ったのは、同氏が熱烈に支持するボルソナロ大統領を助けたいという気持ちからだと見られている。同党は、昨年2月に最高裁判事全員更迭や軍政令第5条(AI5)を擁護して逮捕され、被選挙権を失った大統領派のダニエル・シルヴェイラ下議を社会自由党(PSL)からの破門後に受け入れ、上議選を狙わせようともしている。
 PTBの狙いは、ボルソナロ氏でさえ行えない過激な言動で大統領支持者を煽ろうとしているのではないかと見られている。
 ジェフェルソン、シルヴェイラ両氏の出馬の可否は選挙高裁の判断にかかっている。

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