《ブラジル》農務相が肥料不足を懸念=ロシアのウクライナ侵攻で

テレーザ・クリスチーナ農務相が24日、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を行った事で、ブラジル国内で肥料不足が起きる事への懸念を示したと同日付オ・ヴァロール電子版などが報じた。
同相によると、ロシアとウクライナは共にブラジルへの肥料供給国であるため、今回の軍事侵攻によって両国からの肥料輸入に大きな影響が出る可能性があるという。
同相は、ブラジルに肥料を提供しているのはロシアやウクライナだけではないから、両国からの肥料輸入に問題が生じた場合も、他国からの輸入を増やすなどの代替策を講じる事は可能との見方を示した。
クリスチーナ農務相はつい最近、イランを訪れて肥料輸入に関する交渉を行ったばかりだ。同相によると、イランは大量の肥料を提供できると約束したが、商談をまとめるにはまだ調整すべき事が残っているという。
また、カナダやモロッコも肥料の輸出国であるため、いくつかの選択肢があり得るとしている。
ただ、ブラジルは国内で消費する肥料の85%を国外に依存している事や、昨年輸入した肥料の23%、1月の場合は30・1%がロシア産だった事、今回の軍事侵攻で両国から肥料を輸入していた国々が両国以外の国からの輸入を増やす可能性がある事などを考えると、ブラジルが必要としている量を確保できなくなる可能性もあり得る。
また、世界的な供給バランスが崩れて肥料価格が上昇する可能性がある事も、農家にとっては懸念事項だ。
ロシアとの貿易を考えた場合、昨年の同国からの輸入総額57億ドル中、62%に相当する35億ドルは肥料を中心とする農業関連の消費財だった。2020年の農業関連の消費財の輸入額は17・5億ドルで、前年比で97%も伸びていた。今年の場合も、1月の輸入額5・3億ドル中、65%にあたる3・45億ドル分が農業関連の消費財だった。
ロシアは肥料の原料の一つのカリウムの生産量が世界全体の20%、ブラジルが輸入する量の28%を占めている。窒素の生産量は世界第2位で、ブラジルの輸入量の21%を提供。硝酸アンモニウムについて言えば、ロシアはブラジルにとって、実質的に唯一の提供国だ。