《ブラジル》逃げ惑うウクライナ在住者=大使館が在留者500人に出国勧告=ボルソナロ大統領は沈黙

キエフにあるブラジル大使館(Twitter)

 ロシアが親ロシア派に実効支配された国内2州を独立国家と承認して以来、急速に緊迫感が高まり、軍事侵攻も受けたウクライナ。同国在住ブラジル人約500人は、キエフにある伯国大使館から国外退避勧告を受け、脱出手段を探している。空の便が絶え、ブラジル人達は陸路での脱出を試みているが、家族との分断を経験している人もいると24日付ブラジル国内サイトが報じた。
 親ロシア派の要請で始まったロシア軍の侵攻は陸海空から行われ、全国各地で爆音が響いている。同国では23日も、軍事侵攻を恐れる市民が車や列車など、あらゆる手段で国外退避をはかる様子が伝えられていたが、24日(ブラジルの23日夜)の軍事侵攻で緊張が一気に高まった。
 キエフにあるブラジル大使館はテレグラムとフェイスブックで、車などで西側の国に行ける人は速やかに国外退避するよう勧告。同国東部(ドニエプル川左岸)在住で移動手段を持たない人は、キエフに来て大使館に連絡を取るよう求めた。他方、キエフ在住者には、渋滞で動きが取れなくなっているから再度連絡を取るまで自宅に留まるように勧めている。
 同国在住のブラジル人はサッカー選手やIT技術者、大手企業の役員、学生などで、キエフを中心に全国に広がっている。

半年前に結婚した夫は出国できず、召集待ちと語るウクライナ在住女性(24日付G1サイトの記事の一部)

 同国在住のブラジル人学生は「まるで悪夢。町中に薬や食料などを買い求めたり、銀行で金を引き下ろしたりする人が溢れている」「何かあったら帰国しようと話してはいたけど現実のものとなってしまった。空の便はないから陸路で出国する」と話している。
 別のキエフ在住者は、「数日前から旅券などの書類と最低限の衣類を入れた鞄を用意していた」とし、「一番近いポーランドまで列車で逃げ、そこから飛行機に乗る」と語っている。
 別の市に住み、ウクラニア人男性と結婚して半年の女性は、「難民受入のために国境支援を申し出てくれたポーランドに行く途中。夫は召集待ちで出国できず、家に残った」と語っている。
なお、モウロン副大統領は24日、ロシアの軍事侵攻を批判する発言を行ったが、ボルソナロ大統領は同件に関して無言を保っている。

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