ついに世代交代を迫られるネイマール

ヴィニシウス・ジュニオル(Instagram)
ヴィニシウス・ジュニオル(Instagram)

「サッカー界の主役交代」。これが遂に2022年に起こりつつある。長らく「ネイマール時代」の続いたブラジルサッカー界だが、今年から「ヴィニシウス・ジュニオル時代」に変わろうとしている。
 それくらい、〝ヴィニ〟の愛称で知られるレアル・マドリッドのヴィニシウス・ジュニオルの現在の活躍は目覚ましい。現在まだ21歳の彼は、強豪レアルで、エデン・アザール(ベルギー)やギャレス・ベイル(ウェールズ)といった実績あるベテラン選手から左ウイングのレギュラーを完全に奪うと、チームの重鎮センターフォワード、カリム・ベンゼマ(フランス)にいたく気に入られた。
 14歳も年の離れたベテランとの息のあったコンビネーションはレアルを活気づかせ、今季のスペイン・リーグでヴィニは、ベンゼマに次いで得点王争い2位にランクインする大活躍。これまで「ドリブルは天性のものがあるが得点力が高くない」と評価されてきていたが、その印象を一気に塗り替えた。
 これで彼の市場価値は1億ユーロに達し、世界第3位でネイマールをも抜いた。ネイマールは8年続けていた、「ブラジル最高選手」の座を明け渡すこととなってしまった。その8年前といえば、ネイマールがサントスからバルセロナに移籍した年で、偶然にもその時、彼は21歳だったから不思議な因縁だ。
 10代の頃からこの国きっての大スターで、私生活のやんちゃさも重なっていつまでも若いと思っていたネイマールも、今年でついに30歳。世代交代を迫られることになった。ただ、そのネイマールも、幸いなことにまだ「衰え」らしきものはまだ見せていない。今年はW杯が開催される年だが、南米予選を見る限り、セレソンはまだ彼主体のチームだ。
 ヴィニの急成長はセレソンにも嬉しい誤算だ。これまでチッチ監督はネイマールと同じ左ウイングを守るヴィニを積極的に起用してこなかった。だが、今や世界屈指の強豪チームの看板選手に成長した彼をベンチに置いておくわけにもいかなくなった。
 W杯に向けて、ネイマール、ヴィニの両雄をいかにして同時に起用するか。それがチッチ監督の課題になりそうだ。コラム子の予想だと、攻撃も守備も器用にできるネイマールがガブリエル・ジェズスあたりとの2トップの左の一角で、ヴィニが一歩下がった左サイドになるような気がしているが、果たしてどうなるか。(陽)

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