《ブラジル》コロナ入院等が10日間で3倍=感染激増だが死者は微増=医療従事者の感染離脱が問題に

新型コロナウイルス(NIAID)

 デルタ株ほど重症化しないが、軽いとはいえない変異株オミクロン出現と年末年始の人出増などで、新型コロナ感染者が急増している。
 ハッキング後の保健省のシステム麻痺、検査キット不足、インフルエンザとの重複流行で、軽症者は自宅待機を勧められるなどで保健省統計は実態を反映できずにいる。
 だが、保健省のシステムがかなり正常化した2~8日の新型コロナ感染者は20万8018人で、前週の5万6881人の265・7%増。同株感染者確認初期の12月5~11日比での感染者はアクレなど5州で減ったが、ミナス州、ピアウイ州では9倍以上、マット・グロッソ・ド・スル州やリオ州では10倍以上、連邦直轄区では18倍に増えた。
 7日間平均も12月23日の3090人以降、1月1日8126人、8日2万9717人、9日3万2954人と急増中だ。入院者などの観察中の人も、12月28日6万8156人(感染者の0・3%)、1日9万734人、8日22万7269人、9日26万9852人(1・2%)と急増している。

 観察中の感染者急増は、インフルエンザで生じた呼吸器疾患急増と共に医療体制を圧迫しており、コロナ感染者や呼吸器疾患者用の病床が不足する自治体も増えている。
 また、サンパウロ市だけで1千人以上の医療従事者がコロナやインフルエンザで現場を離れており、人手不足が患者への対応の遅れを招く可能性がある。ワクチン接種進展で死者は感染者ほど増えないと見られているが、病床や医療人員の不足が死者増を招く可能性はある。
 9日現在の新型コロナの死者は保健省統計で61万9981人、メディア統計では62万人を超えた。61万人超えからは60日間で、その前の1万人増の33日間より減速した。だが死者の7日間平均は6日の94人後、109人、119人、121人と増加中だ。
 また、サンパウロ市での5~11歳児のコロナ入院者は、12月の26人に対して1月は37人で40%増えた。12歳以上と違い、11歳以下はマスクや手洗い以外の自衛手段がないため、感染増が予想されていた。子供は回復も早いが、集中治療室入院者もいる。同年齢層の入院者死亡率は14%で、1日も早い接種開始が待たれる。
 なお、オミクロン株感染が98・1%、検査の陽性率が40%超のリオ市では、2~8日に成人5千人が初回接種を受けた。検査希望者急増で店頭の品不足が起き、9日の検査会場は人が溢れた。

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