
アジア文化とリベルダーデをつなぐ新たな交流拠点が、東洋街に誕生した。丸海(まるかい)グループは25日、リベルダーデ広場「Maruso」ビルの2階に「マルカイ文化スペース」をオープンした。開場式には招待客が約55人が集まり、同グループの創立25周年を祝うとともに、創設者の一人である故ジョニー・グオさんを偲んだ。
丸海グループは1999年、ジョニー・グオさんとその両親、妻ルシア山本・グオさんの4人によって創業された。グオさんは1963年10歳のとき、両親に連れられて台湾から渡伯。1998年に日系2世のルシアさんと結婚して、翌年に丸海を創業した。
小さな雑貨店「丸海」から始まったが、今や〝リベルダーデの顔〟として親しまれるスーパー「丸海」「Maruso」、アジア料理店「Itiriki」、カフェ「89℃ Coffee Station」、ラーメン店「Momo Ramen」などをリベルダーデ広場周辺にグループ展開し、アジアの食と文化を当地に根付かせてきた。
グループ代表のルシアさんは挨拶で「先見の明のある起業家ジョニーは2023年12月に先立ちましたが、多文化共生やリベルダーデに対する遺産を残しました。彼は、東洋街は単なる商業地区ではなく、民族の祝祭や混淆、出会いの場所だと信じていました。だから今日、グループ丸海は25周年を記念して役割を拡大し、日伯の商品交易だけでなく、知恵や経験、アートも交流させるためにこのスペースを開設しました。ここは講演、新商品発表、ワークショップ、ギャラリーなど文化間交流に寄与するための場です」と説明した。

この日行われた開場式では、日本・群馬県高崎市から伝統工芸「高崎だるま」の今井だるま店(1930年創業)の3代目・今井裕久さんが来伯。会場では、迫力のあるだるま筆入れが実演され、来場者は職人技に目を輝かせた。高崎だるまは、眉毛は鶴、口ヒゲは亀が描かれ、縁起の良い二つを表現するため、別名「福だるま」「縁起だるま」と呼ばれている。
だるま職人を日本から呼んだ理由をルシアさんに尋ねると、「丸海グループが歩んだ道は、まさに七転び八起きでした。困難に直面する度に達磨大師を思い浮かべ、もう一度と奮起してきました。だからダルマは私達にとって特別な存在なんです」と説明した。
尺八奏者のダニーロ・トミックさんによる演奏や、小説『Xogun, A Gloriosa Saga do Japão』の著者ジェイムス・クラベルさんによる特別講演も行われ、文化的なひとときが会場を包んだ。軽食には、アマゾンやアフリカの食文化から着想を得た日本料理店「Kureiji」(アドリアノ金城シェフ)が、彩り豊かな料理を提供した。