清和友の会=「血と汗と涙の結晶」次世代へ=日系社会遺産遺跡巡り初開催

清和友の会(中沢宏一会長)は12日、「日系社会遺産遺跡巡り」を初開催した。同ツアーは、午前7時半にサンパウロ市リベルダーデ区をスタートし、世界救世教ブラジル宣教本部管轄のグァラピランガ聖地、イビラプエラ公園の日本館・開拓先没者慰霊碑を巡った。日本移民が残した「血と汗と涙の結晶」をどのように次世代へ継承するかという問題意識の下、企画された。

遺跡巡りは、榎原良一(えのきはらりょういち)副会長が司会となって進行。始めに、リベルダーデ区グロリア街の三重県橋上で、「リベルダーデ広場(Esplanada)プロジェクト」に関する説明が、都市計画設計技師の安永エミリオ氏から行われた。
リベルダーデの開発プロジェクトは1968年に始まった。現在はサンパウロ市議会の野村アウレリオ議員がリベルダーデ開発プロジェクトを推進している。中沢会長は「日本政府および関係機関が参加して進展させるべきプロジェクトだ。日本の国益となり、相乗効果で日系社会にも多大な恩恵が生まれる」と語った。
世界救世教ブラジル宣教本部が管轄する「グァラピランガ聖地(Solo Sagrado)」では同教団元評議員で、清和友の会理事を務める大野正人(おおのまさひと)さんが聖地内を案内した。
大野さんは「1974年、画家の間部学さんの紹介で土地を購入した。1990年に聖地となり、土地面積は380ヘクタールある。直径2メートルの大柱16柱で構成されている円形の神殿は、宣教本部の渡辺哲男(わたなべてつお)部長が夢で見た啓示に従って造成された。陶芸のアトリエがあり、将来は絵画と合わせて芸術村をつくる」などと説明した。自然農法研究所の太田裕司(おおたひろし)所長が自然農法について説明した。
中沢会長は「おかげさまで、日系社会を維持していくためのヒントを得ることができた」と述べ、次世代の日系人に「日系社会の遺産遺跡」を継承するためには、強要するのではなく、非日系人の協力を得ることも必要であると語った。
自然農法食材が用いられた昼食を取ったあと、イビラプエラ公園の日本館と慰霊碑を訪問した。
日本館はサンパウロ市制400年祭の1954年に建てられた。中沢会長は「戦後、ララ物資を通じてブラジル日系社会が多大な支援金と大量の物資を送って祖国日本を救ったことに対する返礼として日本館が建てられたと推察される。日本館、慰霊碑、その間の桜並木、ユーカリ林を一体化して改修したい」と提案した。
開拓先没者慰霊碑には偶然に、県連の谷口ジョゼ眞一郎・新会長(ブラジル和歌山県人会連合会会長)が来ており、谷口会長が「慰霊碑は、田中角栄総理大臣の揮毫により、1975年に建立した」と説明。過去帳が安置してある地下室に入り、線香をあげ、皆でお参りした。