2年連続「最も住みやすい町」=注目集まるサンパウロ州の地方都市

ガヴィオン・ペイショット市(Foto: Prefeitura Municipal de Gavião Peixoto/Divulgação)
ガヴィオン・ペイショット市(Foto: Prefeitura Municipal de Gavião Peixoto/Divulgação)

 人口わずか約4800人の小さな町が、なぜ2年連続で〝ブラジルで最も住みやすい町〟の座に輝いたのか――サンパウロ州内陸部に位置するガヴィオン・ペイショット市は、教育や医療体制の充実に加え、地域経済や文化活動の活性化など、多面的な分野で高評価を得ていると7日付G1(1)が報じた。
 アマゾン人間・環境院(Imazon)が5月に発表した「社会進歩指数2025年度版」で、同市は100点満点中73・6点を獲得し、全国5570市の中で1位となった。「基本的欲求の充足」「幸福の基盤」「機会」の3部門、57指標で構成される指数は、食料、教育、健康、治安、自然との接触、基本的人権や高等教育へのアクセスなどを評価対象としている。
 一方、ワースト10の自治体はいずれもアマゾン地域に位置し、最下位のロライマ州ウイラムタ市は37・59点。同市は国内最大の先住民人口を擁し、平均年齢も最も低い。
 地理統計院(IBGE)の最新調査によると、教育分野では、ガヴィオン・ペイショット市に在住する6〜14歳児の98・7%が就学しており、学齢児童の就学率が極めて高い。市当局によれば退学率はほぼゼロで、待機児童も存在しない。
 バイア州サルヴァドールから夫と2人の子どもと共に1年前に移住したプリシラ・ダ・シルヴァさんは、「教育と生活環境の充実がここを選んだ決め手」と話す。「いとこがこの街を絶賛していて半信半疑だったが、来てみたら期待以上だった。サルヴァドールにはない治安や生活の安定性がある。ここなら子どもを安心して育てられる」と述べた。
 医療体制も充実しており、市内では婦人科、耳鼻科、皮膚科、整形外科、精神科など複数の専門診療科が提供され、迅速な対応が可能。対応困難な症例には、サンパウロ市など外部の医療機関への搬送体制も整っている。産科施設はないものの、妊婦健診は市内の保健所基礎ユニット(UBS)で受診でき、出産は隣接するアララクアラ市で行う体制が確立されている。
 市内の地域コミュニティの結束力や住民の相互扶助精神も高く評価されており、22年間同市に居住するロドリゴ・マリアーノさんは「この町ほど人々が温かく迎え入れてくれる場所はない。ここを離れる理由が見つからない」と語る。近年は著名アーティストによるコンサートなど文化イベントも活発化しており、こうした魅力に惹かれて若年層の移住者も増加傾向にある。
 ガヴィオン・ペイショット市が全国的に知られる契機となったのは、2001年に航空機製造大手エンブラエル社の製造拠点が開設されたことだ。農業ではサトウキビとオレンジの栽培が主力で地域経済の重要な柱となっている。
 2021年には、1人当たり国内総生産(GDP)で24万4615・79レを記録し、全国平均を大きく上回った。23年のGDP総額は3億2105万8718レに達し、25年度の市予算は8780万レと見込まれている。こうした安定した財政運営も都市の持続的な成長を支えている。
 ガヴィオン・ペイショット市は小規模ながら多方面で高水準を維持し、国内における地方自治の成功例として注目を集めている。

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