
もし可能であれば、日伯外交樹立130周年を記念して6月4日から3日間来聖される佳子さまには、日伯友好病院をご訪問していただきという話が、10日に行われたサンパウロ日伯援護協会(援協、税田パウロ会長)の病院経営審議会で持ち上がったという。援協は昨年創立65周年を迎えた日系社会最大の組織で、全職員数は3千人を超える。その援協の大黒柱と言える大事業が日伯友好病院の経営だ。
菊地義治名誉会長は、「日伯友好病院のイナグラソン(開院式)の時は、現秋篠宮文仁親王殿下(当時礼宮殿下)を始め、福田元首相やサルネイ大統領、ウリッセス・ギマランエス下院議長、クエルシアサンパウロ州知事など錚々たる御来賓を迎えてテープカットをした。それ以来、皇室からのご訪問は一度も受けていない。この度、ご令嬢の佳子様がご来伯されるので、ぜひ立派に成長した病院の姿を、ゆかりのある佳子様にご視察頂ければと願います」と熱く語った。
日伯友好病院は日本移民80周年を記念して、1988年6月18日に開院式を迎えた。6月18日付パウリスタ新聞によれば、《着工から約二年間の期間をかけ、工事費及び設備五百二万ドルを要したが、最新鋭医療機器を備えベッド百二十床を設置し地上7階建て。(中略)日伯〝友好〟の名にふさわしく日伯両国からの支援によって完成をみたもので、両国友好のシンボルとして今後の活動が期待されている》と書かれている。

現在では同病院の従業員だけで1900人を超え、医師も700人、240病床を数えるまでになった。これが援護協会の稼ぎ頭として存在するために、他の福祉施設は多少の赤字運営でも全体としてはなんとか運営できるという大きな恩恵まで生まれている。
日伯外交120周年の節目にご訪問された秋篠宮同妃両殿下は、すでにサンタクルス日本病院を視察され、記念碑の序幕などを行った。今回130周年では「両国友好のシンボル」として、ご令嬢である佳子様には父君が開院式にご出席された、もう一つのゆかりの日系病院のご視察を、との声が上がっているのも無理はないだろう。ぜひご検討をお願いしたいところだ。(深)