《記者の眼》不審な日本語の電話に注意を!=特殊詐欺の矛先が在外邦人にも

 5日晩帰宅すると、妻から「ちょっと、ちょっとこれ聞いてよ」と言われ、固定電話の留守電に入っていたメッセージを聞かされた。すると、5日午前11時46分に「××の手紙が長期間保管されています。ご確認したいことがありましたら、担当部署におつなぎしますので、1番を押してください」という日本語のメッセージが入っていた。機械音声の女性の声での××部分は、よく聞き取れなかった。

怪しげな日本語メッセージが留守電に

 これは、昨日付本面で出した《「日本であなたに逮捕状が」大使館装う詐欺電話相次ぐ》だとピンときた。ポ語の詐欺電話は日常的にかかってくるが、まさか日本語の詐欺電話がかかってくるとは思っていなかったので、正直言っておどろいた。在サンパウロ総領事館サイトの5日付注意喚起ページには、この詐欺電話のパターンとして次のように説明されている。
(1)電話には、同大使館の代表電話が偽装表示される。携帯電話のほか、固定電話にかかってくるケースもある。
(2)日本語の音声案内で「あなた宛てのレターが届いています。確認したければ1番を押してください」との案内があり、1を押したところ相手から日本語で話しかけてくる。音声案内がなく、犯人が直接話しかけてくるケースもある。
(3)犯人は、同大使館職員のイシハラと名乗る。続いて、被害者の名前で詐欺が行われ、逮捕状が出ている、あるいは捜査が行われているなどと伝える(逮捕状を送付する、あるいは事情を聴取したいとしてLINEの連絡先を聞いたうえで、ビデオ通話に誘導するケースもある)
(4)口座情報や家族構成を聞いたうえで、日本への直接送金、又はPIXでの送金を指示する。
(5)被害報告は日本人に限らず、日系人からも出ているものの、犯人は日本語以外では対応していない(日本語を解する者をターゲットにして犯行を繰り返している可能性あり)
 在サンパウロ総領事館に確認すると「詐欺電話に関する問い合わせが数件きている」とのことで、被害報告はあるのかと尋ねると「ゼロではない」とのことだから、実害は出ているようだ。ブラジリアの大使館にも注意喚起ページがあり、ブラジル全土で起きていると予想される。
 在ニューヨーク日本国総領事館サイトには10月23日付で同様の件の注意喚起ページが作られていることから、北米の方で先に起きている。日本各地で頻発している特殊詐欺の矛先が、10月以降、在外邦人にも向けられてきたという見方もできそうだ。
 「PIXで送金しろ」と命じてきているところからは、ブラジル内に銀行口座を持つ人物が共犯者にいる可能性が高い。
 最大の謎は、どうやって自宅の固定電話の番号を知ったかだ。手当たり次第にブラジル人の家にも迷惑電話をかけていて、日本語メッセージを理解できる日本人と日系人だけが反応しているという状態なのか、それとも、日本人や日系人を狙い撃ちにしているのか…。もし後者であれば、どこからその電話リストを手にしたのか気になるところだ。
 いずれにせよ、不審な日本語の電話には、しっかりと注意した方がよさそうだ。(深)

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