ブラジルの大学受験=長野育ちの日系4世の挑戦(11)=結果はどうであれ充実した経験に

原稿執筆中の松永エリケさん

 第1志望のサンパウロ大学国際関係学部の第一次試験結果発表が去年11月30日に行われた。残念ながら合格基準には9点足りず、不合格だった。
 第2志望の連邦大学科学・テクノロジー協同学科は、「SiSU」(統一選抜システム)を利用して、第一枠に夜間、第二枠を日中コースにして出願。1月30日に結果発表が行われ、10点足りず不合格。しかし、こちらはまだ補欠合格の可能性が残っており、最終結果が出る2月16日までは諦めないでいようと思う。
 補欠合格が叶わなかった場合の進路は、まだ考え中だ。期待していた結果には届かなかったものの、ひとまず、私の大学受験は終わった。
 この1年を振り返ると、私の決断をサポートし、応援してくれた人々への感謝の気持ちが湧いてくる。
 ブラジルに来てたった2年でUSPに合格しようという私の挑戦を「無謀だ」と言って反対する人もいたが、その悔しさをバネにがむしゃらにがんばる事が出来たので、それもまたありがたいことだったと今は思える。
 受験勉強を始めた当初は、自分のポルトガル語能力の低さを痛感し、その度に打ちひしがれた。それでも自分を信じて地道に勉強を続け、それが成績に反映されるようになると、勉強をすることが喜びと自信につながっていった。
 試験問題や予備校の先生、生徒とのやり取りから、ブラジルの文化やブラジル人の考え方が伝わってくるのが楽しかった。
 合格できるか出来ないか、ぎりぎりの目標設定にしたことも受験勉強を続ける上では大切だったように思う。
 受験勉強における反省点は、文章読解力を上げる訓練が足りなかったことだ。回答に至る知識はあっても、問いの意味を正確に理解することが出来ておらず、不正解とされた問題が多かった。読解力をあげるには日頃から意識して文章をたくさん読むしかない。
 諦めることが人生にとって良い選択となることもあるが、受験体験を経て、「どうしても」という強い意思を持って無我夢中で努力すると、結果の如何に関わらず、精神の充実を得られることが実感できた。
 夢や目標を追いかけるべきか悩んでいた、以前の私のような日本育ちの日系人の青年たちが本連載を読んで、少しでも参考にしてくたら幸いだ。
(編集部注:エリケさんによれば16日午後7時頃、「大学の都合で合格者発表は27日になった」と発表があったとのこと)(松永エリケさん、終わり)

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