アルゼンチン、インフレ20・6%に低下=メガ法案次第で悪化懸念も

アルゼンチンの首都ブエノス・アイレス(Foto: Gobierno de la Ciudad de Buenos Aires, via Wikimedia Commons)
アルゼンチンの首都ブエノス・アイレス(Foto: Gobierno de la Ciudad de Buenos Aires, via Wikimedia Commons)

 アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は14日、1月の月間インフレ率が20・6%となり、25・5%であった昨年12月に比べて5%ポイント下回ったと発表した。最も上昇した部門は商品・サービス、運輸、通信、食品だったと14日付クルゾエなど(1)(2)が報じている。
 同機関のデータによると、過去12カ月間の累積インフレ率は254・2%と世界最高水準に達し、80年代後半から90年代初頭にかけて襲われたハイパーインフレ後の記録を再び更新した。
 これは22年の後半から続くアルゼンチンが陥ったインフレスパイラルの結果であり、23年は年間を通じて全ての月の累積インフレ率が100%を超えていた。
 1月はハビエル・ミレイ大統領が就任して1カ月が経過し、リバタリアニズム(自由至上主義)政策の効果が生じ始めている。特に、12月12日に行われた公式為替レートのペソの50%切り下げや、12月末から施行された経済分野の規制緩和や自由化が挙げられる。
 アルゼンチンのマヌエル・アドルニ大統領報道官は、「20・6%というインフレ率が世界でも異常な数字であることは明らかだ。しかし、これはインフレ指数の減速を意味する。一部の人々が懸念していたよりはましな数字だ」と述べた。と同時に「月次インフレ率は今後数カ月間2桁を上回る水準が続くだろう」との見通しも明らかにした。
 ラテンアメリカ経済研究財団(Fiel)の主席エコノミスト、フアン・ルイス・ボウル氏は、アルベルト・フェルナンデス前政権の経済政策が6月頃までインフレに影響を与える可能性があると指摘している。
 前政権が設定した相対価格調整がまだ何度も行われており、エネルギーや交通などの分野ではすでに値上げが発表されており、例えば首都ブエノス・アイレス市内の地下鉄の運賃は、4月には125ペソから574ペソに大幅に引き上げられるからだ。
 ボウル氏は、インフレ率は5月か6月頃まで2桁にとどまるが、20%未満になると推測している。
 現地報道によると、政府関係者らはミレイ改革が進展しなければ、3月末までにさらに経済が悪化すると予想している。メガ改革案が2月初めに下院で否決され、条文の一部検討すら審議再開の見通しが立っていない。このままメガ改革案の審議が進まなければ、3月には新たなペソ切り下げが起こる可能性があり、これが12月と同様にインフレを再加速させる可能性があると一部エコノミストは予測している。

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