ブラジル北東部=岩塩採掘場で崩落の危険性=マラカナン・サッカー場並みの陥没穴?=避難命令に非常事態宣言も

3日間で2メートル近く地盤が沈下、マラカナン・スタジアム位の陥没が生じる可能性ありと報じる1日付G1サイトの記事の一部

 ブラジル北東部アラゴアス州都マセイオー市にある石油化学企業ブラスケン社の岩塩採掘用の洞窟が、いつ崩壊してもおかしくない状況になり住民に避難命令が出た上、非常事態も宣言されたと1日付G1サイトなど()()が報じている。

 同市防災局によると問題になっているのは、同社が所有する岩塩採掘用の洞窟35カ所の内の一つで、ムタンジェ地区にある18番と呼ばれている洞窟だ。この洞窟が崩れた場合、7番と19番の洞窟も崩れる可能性があり、現場にはマラカナン・スタジアムと同じサイズの巨大な陥没が生じるとされている。
 2018年2月15日付G1サイト()によると、同地区住民はこの頃から、住宅の壁にひびが入るなどの問題を訴え続けていた。それがこの11月に入ってからだけで5回の地面の揺れが発生したため、市や州、国の機関も出動する事態となった。
 11月の揺れは洞窟の一部が崩壊した可能性を示しているとされ、防災局がブラスケン社の作業現場の一部で観測を始めたところ、11月28~30日の3日間だけで1・87メートルの地盤沈下が起きている箇所があることが確認された。
 ムタンジェ地区の住民は既に全員が避難しているが、隣接地区の住民の避難はまだ徹底しておらず、ボン・パルト、ベベドウロ、ピニェイロの3地区では数十軒がまだ、自宅に留まっている。防災局によると、ムタンジェ地区では11月29日の時点で退去していない人達が約23軒といわれていたが、崩落の危険性が高まってきたことで自発的に避難する人が増えたという。
 11月29日付G1サイト()によれば、ピニェイロ区のサナトリオ病院は全ての患者を別の場所に移した。市保健局は任意休日を取り止め、緊急時には対応できるよう、保健所の職員などに指示を出している。
 11月30日付アジェンシア・ブラジルなど()()()によると、事態が逼迫し、非常事態も宣言されたことで、ウエリントン・ジアス社会開発相や同州選出のレナン・フィリョ運輸相といった閣僚や議員らも同市に赴き、経緯を見守り、対応を検討している。
 だが1日付G1サイト()によると、近隣地区の住民達はいきなりの退去命令に戸惑いながら、「ずっと前から問題提起をしてきたのに何もされていなかった」と不満の声を上げているという。

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