《ブラジル》大統領選=ボルソナロ派企業家が圧力?=従業員への脅迫や投票妨害=選挙裁判所や労組が対策へ

パラー州の事件の企業家(Twitter)

 中小企業のトップが従業員らに、大統領選でボルソナロ氏(自由党・PL)に投票するよう強要、脅迫し、票を買っていた件が摘発されたのをはじめ、同種の疑惑に対する訴えが労働検察局や選挙地域裁に殺到。これに関し、ルーラ氏(労働者党・PT)の陣営が不安を覚えている。11日付現地紙、サイトが報じている。

 中小企業の経営者が従業員を脅してボルソナロ氏に投票するよう脅迫した疑惑は7日、パラー州サンミゲル・ド・グアマーの製陶企業社長が従業員に200レアルを払ってボルソナロ氏に票を入れさせていた事実を、社長自身が認めて告白した動画が出回ったことで表面化した。
 こうしたことはこの件だけにとどまらず、労働検察局や選挙地域裁に対しても同様の訴えが出ている。同種の訴えは2日に行われた一次投票直後から急増しており、労働検察局に少なくとも169件の訴状が出ている。その内容は、票をめぐるモラル・ハラスメントから、具体的に投票を妨害する行為までが含まれているという。
 フォーリャ紙が実例として挙げているのは、ワッツアップ上で「ルーラ氏に投票するという人を見かけたら、書類や納税者番号(CPF)、身分証明書(RG)を取り上げて、選挙登録させないようにしろ」と命じる企業上層部の音声メッセージなどだ。
 こうしたことから、PTがアレッシャンドレ・デ・モラエス選挙高裁長官にかけあい、対策を求めている。ジャン・ポール・ピラテス上議は、こうした疑惑を「パン屋のネオ植民地主義」と呼び、「中小、零細企業レベルで選挙ハラスメントが広がっている。これは自由な投票を妨げ、民主主義を揺るがしかねない行為だ」と警鐘を鳴らしている。
 PT側は、ボルソナロ氏支持の零細企業家らが正規雇用者のみならず、アルバイト、日雇いなどの非正規雇用者に対してもこのような脅しをかけていることや、これらの企業で決選投票の30日(日曜日)に仕事を押し付け、投票に行けなくする可能性などを恐れている。
 PTは6日にモラエス長官と話し合い、同長官から、選挙裁判所はこれらの訴状の内容を把握しており、厳密な捜査と懲罰適用を行う意向であるとの返答を受け取っている。
 労働検察局も企業上層部に対し、政治的な表明を労働環境において強要、促進しないように求めている。
 中央労組(CUT)も既に、大統領選の投票に関し、職場での圧力の苦情を受け付ける専用サイトを設けている。また、フォルサも同様に、リオ・グランデ・ド・スル州で農業系の企業が「ルーラ氏当選の場合は仕事を打ち切る」と供給業者に脅しをかけていた件を国際労働機関(ILO)に訴えている。
 これらの問題は、南東部の保守系の現職知事たちがボルソナロ氏支持を表明したことで強まる懸念もある。これらの州には中小、零細企業も多く、小さな市に対する知事の影響力も大きいためだ。

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