《ブラジル》独立記念日デモ=ボルソナロ派でも意見二分=民主的で温和な主張優勢に=クーデター扇動止め、暴力に難色

2019年の独立記念日のボルソナロ大統領(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 7日の独立記念日に行われる予定のデモに関し、その内容をめぐり、ボルソナロ大統領の支持派の間でも意見がまとまっておらず、割れていると、5日付現地紙、サイトが報じている。
 ボルソナロ大統領が8月の大統領選出馬式で「投票日前の最後の通りに出る機会だ」と煽ったこともあり、7日の独立記念日には全国的に大統領支持派によるデモが行われる。
 デモの話題はボルソナロ氏の支持者にとっての最関心事のひとつだ。フォーリャ紙とクエスト社の調べによると、8月26日~9月1日にはワッツアップで511、テレグラムでも176の大統領支持派グループがデモを話題にしており、別の調査ではピークに達した8月31日には2万5千件の関連投稿が行われていたという。
 だが、ここに来て、このデモに関する意見が支持者の間でも割れてきているという。ひとつは、これまでのような「非民主主義」的な路線だ。そこでの主張は、ボルソナロ大統領が行ってきたような選挙システムを疑うもので、「ヴォト・インプレッソ(印刷つき投票)を導入し、公開集計を」「最高裁を一掃せよ」「ボルソナロ氏は軍を動員するべきだ」に加え、「ボルソナロ氏のシャッパを無効にするような動きがある」といった陰謀論を拡散しているものまで存在するという。
 当のボルソナロ氏は3日、選挙高裁長官を兼ねる最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が、「ルーラ氏が大統領選当選の暁には、ボルソナロ氏によるクーデターを支持する」とワッツアップ上で発言した8人の企業家に対する捜査命令を下したことに関し、「ヴァガブンド(ばかもの)」と批判した。大統領は昨年の独立記念日の反最高裁デモの際にも同判事を「カナーリャ(卑怯者)」と罵倒している。
 だが、ここに来て、大統領派の間でも、そうした非民主主義的な主張のものより、より冷静かつ安全な主張の方がむしろ拡散されているという。その主張は、「建国200周年を暴力の写真で象徴されたくない」というものだ。
 その主張では、最高裁などへの体制批判をやめ、「表現の自由の規制」というポイントのみに絞った抗議をすべきであるとし、選挙システムに対する不信感も「世論調査のやり方に対するもの」へ論調を変えてきているという。
 ボルソナロ氏自身も先週、パラナ州で行った集会の際に見た「大統領、今こそ軍を立ち上がらせるべきだ」という、クーデターを煽るかの垂れ幕を取り外すように命じている。
 また、ボルソナロ大統領支持派の候補者の間でも、独立記念日のデモに関して、参加するか否かの話を避ける人たちが目立っているという。再選を目指す候補者の中には、政党名を目立たないようにしたりして、大統領との関係を隠そうとする動きさえあるという。

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