ラテンアメリカ協会=急激に発展するパラグアイの実情=硯田さんオンライン講演に60人

講演する硯田さん
講演する硯田さん

 「私の住むアパートから18本のタワークレーンが見える。これはその土地の景気の良さを示すバロメーター。急激に発展するパラグアイの実情をお伝えしたい」――ラテンアメリカ協会(東京、佐々木幹夫会長)が主催する「2022年度ラテンアメリカなるほどトーク第3弾『パラグアイの住宅事情と生活情報』(硯田一弘 アディルザス代表取締役)が6月16日、オンラインで開催された。
 桜井悌司さんの司会のもと、日本を始め、パラグアイ、ブラジル、アルゼンチンから約60人が参加。参加者チャットメッセージから熱心な質問が寄せられ、講師が回答を行った。
 現地アスンシオンでビジネス・コンサルタントとして活躍中の硯田さんは三菱商事時代に、ベネズエラ(1988~93、08~12年)、ペルー(12~14年)、ブラジル(14~16年)、パラグアイ(16~現在)に駐在。南米生活は通算19年目のベテラン。退職後にアスンシオンで総合商社アディルザス社を設立した。

高層ビルが建つ現在のアスンシオンの街並み
高層ビルが建つ現在のアスンシオンの街並み

 「2015年に初めてパラグアイに来た時、都心に立つシェラトン・ホテルの10階に泊まったが、当時は周りに高い建物は皆無。今は大きく変わりました」と述べ、アルゼンチンやブラジル、ウルグアイの富裕層が資産投資の一環としてアパートを購入する例が多いことを説明した。
 硯田さんは「富裕層は以前、買い物といえばマイアミまで行くのが当たり前。駐在員が日本食材を買い出しするならサンパウロまで行かないと手に入らなかったが、今ではアスンシオンで手に入る」と実例を交え解説。
 パラグアイの一番のお薦めポイントとして治安を挙げた。「チリでもサンチャゴ郊外、ブラジルでもサンパウロ郊外には巨大な貧民街が広がる。南米どこでもその光景は一般的だが、パラグアイだけが例外といえる。巨大貧民街がなく、南米では群を抜いて治安が良い」と強調した。
 現在、政府が特に力を入れているのは高速道路の複線化などの公共工事で、高齢者福祉分野でもビジネスの成長が見込まれる。実際、樹脂製品の製造をする萩原工業(岡山県倉敷市)がこの6月、主力製品のコンクリート補強繊維の製造拠点をパラグアイに新設することが発表されたばかり。硯田さんは「日本からの進出の余地は十分ある」と語った。
 次回のなるほどトーク第4弾は8月4日(木)21時(日本時間)からボリビア在住の島袋正克(有)伊島代表取締役が「エルネスト・チェ・ゲバラ最後の日々」をオンライン講演する(https://latin-america.jp/archives/53501)。
 1959年のキューバ革命の英雄ゲバラは、その後ボリビアでも革命運動を起こすべく1967年、ボリビアの東部のジャングルで戦い、ボリビア軍に捕らえられて処刑された。島袋氏は、ゲバラ最後の地を何度も訪れた結果、「ゲバラがなぜボラビアに潜入し、サンタクルスを蜂起の地として選んだのか」を独自に推論した。その内容を講演する予定。

 

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