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被爆者の渡辺さんらが怒りの声=ロシアのウクライナ侵攻で

ロシアの空爆を受けたマリウポリの小児病院(Wikimedia Commons)
ロシアの空爆を受けたマリウポリの小児病院(Wikimedia Commons)

 「戦争が起こる原因は世界に核があること」「(ロシアのプーチン大統領が)核兵器の使用をほのめかしていることが一番の心配」――。そう語るのは「在ブラジル原爆被爆者の会」の渡辺淳子さん(79歳)と、森田隆会長(98歳)の娘・斉藤綏子(やすこ)さん(74歳、ブラジル帰化人)だ。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から40日以上が経つ中、ウクライナ国内では民間人へのジェノサイド(大量虐殺)が行われているとの報道もあり、ロシアに対する怒りと悲しみの声を上げている。

 原爆被爆者である渡辺さんは、今回のロシアのウクライナ侵攻について、あくまで個人的な意見として次のように話してくれた。
 「今の時代にこんな戦争が起こっているということが信じられず、ピンとこないというのが正直な気持ち。プーチンと一部のエゴイストな上層部の勝手な言い分で虐殺行為が行われ、ウクライナの高齢者や女性、子供たちが被害に遭っていることが許せない。あくまでもニュースを見ての判断だが、今回の戦争の一番の原因は全世界に核があることだと思う。人道的にやってはいけない行為をなぜやるのか、悲しくて仕方がない」
 また、8歳まで日本に住んでいたという斉藤さんも「一番心配しているのは、ロシアが核兵器の使用をほのめかしていること。新型コロナウイルスと同じく、放射能も目に見えないという恐怖があるのに、ロシアの指導者(プーチン)は正常じゃない」と率直な思いを語る。

被爆者協会は「団体」から=自主的な個々の「会」に移行

 ブラジル在住被爆者の高齢化が進む中、かつての「ブラジル被爆者平和協会」は2020年12月に「在ブラジル原爆被爆者の会」と名称を変更した。活動そのものは従来と変わらない。ブラジル内には現在も約70人の被爆者が生存しているという。
 渡辺さんらによると名称変更の理由は、森田会長をはじめとする会員の高齢化とコロナ禍によって活動は縮小しており、そうした中でも「協会」として活動するためには法人登録を行い、税金を支払う必要があるため、個々人が自主的に活動を行う「会」としたそうだ。
 在伯被爆者を対象に2年に1回行われていた広島・長崎からの医師団派遣検診は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっており、援協・サンタクルス日本病院でのチェックアップ(人間ドック)も停止されたまま、再開のめどは立っていない。
 一方、「協会」時代からの長年の活動の成果により、ブラジル在住の被爆者であっても日本の被爆者手帳を所持していれば、日本政府と提携している援協傘下の日伯友好病院とサンタクルス日本病院での現地治療が可能になったという。
 しかし、そうした恩恵を受けられるのはサンパウロ市周辺に住む原爆被爆者が中心で、地方に住む高齢被爆者はコロナ禍の中で遠方まで出ていくことができず、治療を受けられないのが現状だ。
 渡辺さんは、「現在も広島・長崎からのコンタクトはあるのですが、日本から航空便が届かず、船便だと3、4か月かかり、必要な証明書類が忘れたころに届いたりしています。以前通り活動は行っているのですが、医師団派遣もチェックアップも今年はまだできるかどうか分かりません」と話している。
 斉藤さんは今後の動きとして、コロナ禍前に行われていた、ブラジル人医師の日本での原爆治療研修の再開を期待している。

 

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