人文研=若手研究者育成に意欲=協定大学増、オンライン発表会も

昨年開催されたオンラインセミナーの様子
昨年開催されたオンラインセミナーの様子

 「日系社会に関する学術研究をもっと広げていきたい」――サンパウロ人文科学研究所(人文研、CENB、モラレス松原礼子理事長)は若手日系社会研究者育成の取り組みを進めている。
 人文研では現在、修士課程の学部生4人、修士号を取得済みの学生1人、学部生の研究生2人からなる7人が研究生として所属している。4月には7人の研修生による論文の発表がされる予定だ。
 研究活動に参加する学生はこれまで、サンパウロ総合大学(USP)の学生が主だったが、21年からはブラジリア連邦大学と協定を結び、日系社会に関する共同研究会をひらき、3か月に1度の頻度で発表会を実施。また、定期セミナー等も開催し、研究者育成の場を整えている。
 21年12月にはUSPと人文研共催でユウコ・タカノ准教授(ブラジリア連邦大学)による「コロニア語」の講演を行った。「コロニア語」は日系社会で使われる日本語とポルトガル語の混合言語。タカノ准教授は、コロニア語を使用する日系人は言語的偏見により日本語習得が妨げられている事が研究で判明したことなどを紹介した。

21年に開催された「コロニア語」セミナーの広報画像
21年に開催された「コロニア語」セミナーの広報画像

 講演会には松原理事長やブラジリア連邦大学のアリス・ジョコ教授が出席。ジョコ教授は「言語は文化の副産物であり、地域性や話者の性格が表れる。これらの研究はもっと重要視されるべきだ」として伯国における日本語およびコロニア語には文化的価値があるとの見解を示した。
 21年9月23、24日には、人文研の奨学生7人による発表会がオンライン上で開催された。オンライン講演会には平均70人が参加する。松原理事長は「研究成果を発表し、それに対する意見をもらうことで、新たな知見が開けたり、研究に対するモチベーションが高まります。今後もこういったイベントを続けていきたい」と述べた。

 

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