《ブラジル》ウクライナ危機で燃料減税法案成立に圧力強まる=燃料高騰にゲデス経済相耐えられるか

ゲデス経済相(Antonio Cruz/Agencia Brasil)

 ウクライナ危機を理由に燃料減税に早急に取り組むよう、連邦政府がパウロ・ゲデス経済相に圧力をかけ始めていると、3日付伯字紙が報じている。
 今年は選挙年でもあり、ボルソナロ大統領をはじめとした連邦政府関係者は、国民感情に反映されやすい減税政策を望んでいる。特に、ガソリンやディーゼル油などの燃料は国際的なコモディティ価格の高騰により、昨年のブラジルでのインフレ高進の最大の原因となった。昨年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は年間10%を超えるほど高進した。
 だが、こうした減税は連邦政府にとって大きな減収となる上、現在提出されている憲法補則法案(PEC)では減税の埋め合わせとして義務付けられている別の課税による補填をやらないため、財政バランスを大きく乱す可能性がある。そのためゲデス経済相は「ディーゼル油のみの減税」を主張して譲らない状態が続いている。

 だが、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで原油の国際市場価格がさらに上昇する流れになっている。ゲデス氏は侵攻前から、「原油が1バレル100ドルに達したら劇的な方策を採る」と約束していたが、現在は120ドルに達する勢いだ。これにより、ゲデス氏が正念場に立たされていると見られている。
 ブラジルの燃料価格はペトロブラスが決めているが、現状では値上げは不可避だ。連邦政府はこれまでも価格干渉を試みており、高騰を抑えるためのファンド開設などの考えも打ち出してきたが、経済相に止められていた。
 上院では、ガス代援助金(アウシリオ・ガス)の対象を国の社会福祉プログラムの「アウシリオ・ブラジル」の受給者まで広げ、支給額を台所用ガス(ボチジョン)の満額とすることや、減税対象をガソリンやディーゼル油、ガス、電気代まで広げることなどを定めた「カミカゼPEC」とも呼ばれる法案を準備している。下院も連邦政府の協力を得て、商品流通サービス税(ICMS)減税で燃料費を抑える法案を用意している。
 これらはいずれも大幅減収を招くため、上下両院議長もゲデス経済相の意向を入れ、審議を差し止めている。ただ、ウクライナ危機で状況が変わる可能性が出てきている。

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