連載小説=おてもやんからブエノスアイレスのマリア様=相川知子=第17回
17.邦字新聞で読んだ泥棒話2 銀行強盗
記者業とは聞こえはいいがそれだけでは懐がつらい。ある日、お金の工面に困り、銀行強盗でもしてやりたいぐらいの気持ちになったことがあったらしい。記者さんはそのときの気持ちを、こんな風に記事に書いた。
いわく、いざやると、俺がやったということではなく「ハポネがやった」と現地の新聞に載るだろう、珍しいことだからね。そうすると今まで培った日本人の評判は一気に落ちてしまうに違いない。先輩移住者への感謝の気持ちはある。
だが金はない。銀行の前で行ったり来たりしたが、もちろん断念した。
その帰り道にティントレリア(洗濯屋)が...
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