《ブラジル》国連大使「直ちに武装解除を」=ウクライナ問題で大統領と温度差か

21日の安全保障緊急理事会(Twitter)

 ロシアがウクライナの親ロシア派が実効支配する地域の独立を承認した上、「平和維持部隊」の派遣を命じたことに対し、ブラジル国連大使がプーチン大統領への批判を避けつつ、軍撤退を求めるなどの抗議を行った。21、22日付現地紙、サイトが報じている。
 ボルソナロ大統領は先週、ウクライナ問題で国際的な緊張感が高まる中、ロシア訪問を強行。そこではロシアへの「連帯」などの言葉も飛び出したことから、18日には米国のジェン・サキ報道官が「ブラジルは世界の大半とは違う側についたようだ」と批判。翌19日にはブラジル外務省がそれを否定するなどの動きが続いていた。
 だが、国連安全保障理事会が21日に緊急開催された場で、ロナウド・コスタ・フィーリョ・ブラジル大使は、「この件に関わる全ての地域で対話が必要」とし、「まずは武装解除だ。それこそが国々における信頼関係を築く第一歩に他ならない」と主張した。
 同大使はまた、「国際的な領土に関する法律は遵守されるべきだ」とも主張。プーチン大統領の名こそ出さなかったものの、その行為を実質的に批判した。ブラジル外務省と大統領の間には温度差があることをうかがわせた。

 プーチン大統領は21日、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスクの2州の独立宣言を承認する文書に署名した。両州は親ロシア派の武装勢力が実効支配しており、一方的に独立を宣言していた。
 この独立承認の文書では、武装集団による支配を援助するため、国防省に「平和維持部隊」を派遣するよう、命じている。
 米国のバイデン大統領や北大西洋条約機構(NATO)はかねてから、ロシアによるウクライナへの武力侵攻を警戒していたが、先週の時点で、「ロシアがウクライナ東部の州を利用して、本格的な軍事侵攻に踏み切るであろう」との見方を示していた。
 プーチン大統領は独立承認を宣言するテレビ演説で、「ウクライナはアメリカに支配されており、国とは言えない状況だ」と欧米諸国を敵に回す発言も行っている。
 今回の件に関し、ロシアに対する制裁処分が加えられることは避けられないとの見方が強い。

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