静岡文化芸術大学=JHSPとアートマネジメント交流=オンラインで研究成果発表=今の日本の食文化伝える

発表後、学生たちへインターシップ修了証が手渡された(静岡文化芸術大学提供)
発表後、学生たちへインターシップ修了証が手渡された(静岡文化芸術大学提供)

 静岡文化芸術大学は1月18日、アートマネジメント教育の一環としてサンパウロ市の日本文化広報施設ジャパン・ハウス(JHSP)と協同で行っているオンライン・インターシップ事業の成果発表会をオンライン開催した。
 同大学は2018年から、県の支援のもと、JHSPとアートマネジメントをテーマとする交流事業を行っている。アートマネジメントとは音楽会や展覧会等の事業を継続的に実施する非営利組織の運営技術を指す。
 今オンライン・インターシップ事業では同大学の学生7人が、JHSPから提示された課題(ガストロノミー(食・食文化))について4カ月間、調査研究を行った。
 JHSPの課題に対し学生らは、「食育」を基本テーマとして、「食の楽しみ方」や「健康食」「保存食」「給食」「フードアート」の調査研究にあたった。
 「食の楽しみ方」の成果発表では近年の流行言葉「映え」(写真映えするの略語)についての考察や、観光地の食べ歩き文化、食に関する博物館やコンセプトカフェの事例を紹介。「健康食」では精進料理や麩、納豆などを紹介した。「保存食」では鰹節や野菜をシート化した「ベジシート」を、「フードアート」ではキャラ弁等の事例紹介を行った。「給食」ではその歴史やコロナ禍後の取り組みなどを紹介した。
 エリック・アレシャンドレ・クルッグJHSP館長は「食文化における重要な要素が見事に取り上げられていた。特に『黙食』や『個食』といったコロナ禍後に出来た食文化については興味深かった。発表内容を元にした企画展が出来るかもしれない」と述べた。
 発表会に参加したブラジル静岡県人会の川崎エレナ玲子会長は「私達の親世代は戦争後の食べ物がない時代に渡伯し、私たち二世世代はその料理文化を受け継ぎました。観て楽しむ現代日本の食文化については凄く勉強になりました」と語った。
 学生リーダーを勤めた髙橋菜緒(21)さんは、「ブラジルの皆さんに今の日本の食文化を伝えることができてとてもよかったです。貴重な経験をさせて頂き感謝しています」と語った。
 静岡県は在伯メディアへの郷土食文化発信のための広告出稿やブラジル向け郷土食紹介動画の作成など郷土食文化の発信努めている。これらの文化発信事業にも同大学の生徒らが協力している。

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