《ブラジル》ミナス州=377市が非常事態宣言中=被災住民への予防接種急務=鉱滓ダム決壊の危険性は?

豪雨の被害で水没した状態のジュアツバ市(18日付G1サイトの記事の一部)

 10月から続いていた大雨がやや落ち着いているミナス州。だが、先週も強い雨が降った事などで、17日現在も377市が非常事態宣言中で、汚水や汚泥に触れると発生する可能性のある病気の流行を防ぐための予防接種なども行われていると17~18日付現地サイトが報じた。
 大雨やダム決壊などによる洪水や浸水被害の後は、ネズミや犬などの尿で汚染された下水や汚泥に触れたりして起こるレプトスビラ症などの病気が発生する可能性がある。
 このため、ベロ・オリゾンテ大都市圏では、雨水や汚泥に触れた住民への予防接種を急いでいる。ベチン市はその一例で、市保健局が約3千人を対象にジフテリアと破傷風、肝炎の予防接種を行っている。また、ラポーゾス市ではレプトスビラ症の症例が報告されている。
 レプトスビラ症は急性熱性疾患で、風邪程度で軽快する例もあるが、重症化すると黄疸や出血、腎障害を伴う重症型のワイル病に至る。
 また、同州は鉱山が多く、鉱物の採掘時に出る汚水や汚泥を溜め、水分を抜くための鉱滓ダムが各地にある。これらのダムに溜まった鉱滓が大量の水分を含むとダムの壁面に予想以上の力がかかり、決壊する可能性がある。

 ミナス州では、マリアナやブルマジーニョでの鉱滓ダム決壊事故後、ダムの危険度の監査が厳しくなり、警戒レベルが3段階中2になったら住民の退去などが要請される。
 先週はノヴァ・リマ市マカッコス区で、第3段階のB3/B4ダムの決壊回避用の下流保持構造(ECJ)が下流の洪水を悪化させ、道路が汚水や泥で埋まる状態も生じたため、国家鉱業庁(ANM)は第2、第3段階のダム31カ所を中心に巡回監視を強化中だ。
 また、水力発電所の貯水ダムや川に設けた防災ダムが大量の雨で溢れたり、決壊したりして下流が大洪水に見舞われる例もある。決壊を防ぐための放流も洪水を招き得るが、ミナス州やバイア州ではこの手のダム決壊による水害も起きている。
 同州の土壌は多量の雨を含んでおり、新たな土砂崩れで死者が出たとの報道もある。
 同州政府は18日、被災者向けの資金援助なども含む救済・復興策を発表した。

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