
英国南部に所在する巨大な環状石造建築物「ストーンヘンジ」は、その建造目的が未だに解明されておらず、考古学界のみならず広く一般の関心を集め続けている。こうした謎に満ちた遺構と類似する古代遺跡が、ブラジル北部アマパー州にも存在する事実は、国内でもほぼ知られていない。「ブラジルのストーンヘンジ」と称されるこの謎の遺跡について4日付CBNブラジル(1)が報じた。
アマパー州カルソエネ市に位置するこの遺跡は「カルソエネ天文台」と呼ばれ、ソルスティシオ考古学公園の一部をなす。同地域を流れる川の名称にちなみ、「レゴ・グランデ遺跡」とも呼ばれている。約30メートル四方の区域に127基のモノリス(単立石)が並び、主に花崗岩製で高さは最大4メートルを超える。高度な技術で丁寧に切り出され、配置されたこれらの石は、放射性炭素年代測定で約2千年前に設置されたと推定される。
石は単なる円環状ではなく特定の天体位置を示すよう精密に配置され、特に冬至の正午に太陽が遺跡中心に来る設計だ。これにより、地域の先住民は天文観測を通じて季節や雨季の開始を把握し、農業や狩猟、生活の指針としたと考えられている。
さらに、近隣で見つかった陶器破片や埋葬用壺から、儀式や葬祭の役割もあった可能性がある。出土陶器はアマゾン地域のアリステ族やクナニ族の文化と関連し、遺跡の社会的・宗教的機能解明の重要な手がかりとなっている。(2)
遺跡は19世紀、スイスの動物学者エミリオ・ゴエルディによって発見されたが、詳細な科学的調査や発掘は2000年代以降に本格化。05年以降、ブラジル政府の関心が高まり、保存と研究が進められている。(3)
かつてはカリブ海地域の先住民族の築造とする説も存在したが、カンピーナ・グランデ連邦大学の調査により、出土した陶器がアマゾン奥地の部族の儀式用陶器と類似することが明らかとなり、当地の先住民族による築造の可能性が高いと考えられている。
現在、考古学遺跡の保存管理と調査はアマパー州科学技術研究所(IEPA)が担い、2024年から「カルソエネ・ソルスティシオ公園」の整備計画を推進している。同計画には国の文化財保護機関・国立歴史美術遺産院(Iphan)も関与し、同年4月、アマパー州政府と公園開発およびアマパー歴史美術博物館再整備に関する意向覚書を締結。両事業の総事業費は約90万レアルと見込まれている。
Iphanによれば、本計画は遺跡に博物館機能を付加し確実な保存を図るとともに、文化的・環境的な観光とレジャーの機会を提供することを目的としている。