ブラジル株式市場の主要指数であるIbovespaは、0.47%の上昇(629.12ポイント増)となり、133,148.75ポイントで取引を終了した。これは昨年10月2日以来、約6か月ぶりに133,000ポイントを超えた水準となる。
一方、外国為替市場では米ドルが対ブラジルレアルで上昇し、商業レートで0.34%高の5.752レアルで引けた。2日連続の上昇となる。短期金利先物(DI)は全般的に低下したものの、依然として15%前後を推移している。
インフレ指標(IPCA-15)の伸び鈍化
市場に影響を与えたのは、ブラジルの3月の消費者物価指数(IPCA-15)の伸びが市場予想を下回ったことだ。ただし、鶏卵の価格は約20%の大幅上昇を記録した。
経済アナリストの間では、インフレ率が目標を上回る状態がしばらく続くとの見方が広がっている。C6銀行のエコノミスト、クラウディア・モレノ氏は「インフレの加速は一時的なものではない」とし、「為替の下落、堅調な経済、労働市場の活況が引き続き価格を押し上げる要因となる」と分析。2024年のIPCA(消費者物価指数)は5.9%に達すると予測している。これは、政府の設定した目標値3%(許容範囲±1.5%)を大きく上回る水準である。
インテル銀行の上級エコノミスト、アンドレ・ヴァレリオ氏は、「インフレ率の鈍化はポジティブなサプライズだが、その改善はわずかであり、食品価格の上昇が持続すれば、サービス価格など他の分野にも影響を及ぼす可能性がある」と慎重な見方を示した。
Haddad財務相「ブラジルのGDP成長見通しは据え置き」
ブラジル中央銀行が2025年のGDP成長率予測を2.1%から1.9%に下方修正したのに対し、フェルナンド・ハダジ財務相は「政府の成長見通しは依然として2.3%であり、修正の必要はない」と発言した。同相は「政府の予測は現実に近い」と強調し、経済成長に対する楽観的な見方を維持している。
ブラジル中央銀行(BC)のガリポロ総裁、政策金利の引き締め継続を示唆
ブラジル中央銀行のガブリエル・ガリポロ総裁は、金融政策報告の発表の中で、インフレ抑制のために政策金利(Selic)の引き上げが続く可能性を示唆した。ただし、そのペースは鈍化するとみられている。
また、同総裁は「ブラジル中央銀行は、正規雇用者向けの給与天引き型ローン(クレジット・コンセギナード)がインフレに与える影響を精査する必要がある」と強調した。
米国市場:追加関税と格付け懸念で株価下落
米国では、2024年第4四半期のGDP確定値が予想通りの結果となったものの、市場の関心はドナルド・トランプ政権が打ち出した新たな関税措置や、政府債務の拡大に集まった。
ニューヨーク市場の主要指数は一時大幅に下落したが、終盤にかけて持ち直し、最終的には小幅なマイナスで取引を終えた。さらに、格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けの引き下げに近づいているとの報道が、市場の不安を高めた。
今週金曜日には、米連邦準備制度理事会(FRB)が注目する個人消費支出(PCE)物価指数が発表される予定で、市場は慎重な姿勢を崩していない。
ブラジル市場:ValeとPetrobrasが上昇、Itaúsaが活況
ブラジル市場では、鉄鉱石価格の上昇を受け、Vale(VALE3)が0.80%の上昇。エネルギー市場では、国際原油価格の上昇を背景にPetrobras(PETR4)も0.75%の上昇となった。
金融セクターでは、Bradesco(BBDC4)が0.38%下落し、Itaú Unibanco(ITUB4)が0.12%上昇。中でも持株会社Itaúsa(ITSA4)は、機関投資家の評価向上を背景に0.83%上昇し、2日連続で最も取引が活発な銘柄となった。
一方、防衛・航空機メーカーのEmbraer(EMBR3)は1.46%の下落。日本向けの大型契約締結にもかかわらず、4日連続の下落となった。
小売業セクター:Magazine Luiza急騰、Americanasは急落
小売セクターでは、Magazine Luiza(MGLU3)が3.62%上昇し、3月の上昇率は52%超となった。一方、Casas Bahia(BHIA3)は3.19%下落したものの、3月の累計上昇率は260%超と驚異的なパフォーマンスを維持している。
しかし、Americanas(AMER3)は2024年第4四半期の業績が市場予想を下回り、25.97%の急落となった。
今後の焦点:PCEとブラジルの失業率
今週金曜日には、米国のPCE物価指数に加え、ブラジルの2月の失業率が発表される予定。最近のデータでは失業率の低下傾向が続いているが、この流れが続くのか、それともIbovespaのように一時的な調整を迎えるのか、市場の注目が集まる。