【2024年新年特集号】パリ五輪に高まる期待!=汎米大会で大躍進のブラジル人勢=金66、銀73、銅66で合計184のメダル

 東京から五輪旗を引き継ぎ、いよいよ2024年7月26日〜8月11日の日程で、第33回夏季オリンピック競技大会がフランスのパリで開催される。ブラジルオリンピック委員会(COB)は、選手達のパフォーマンスが高まっていることから、これまでのメダル記録を塗り替えてブラジルのスポーツ界にさらなる功績をもたらすことを期待している。23年10月に南米チリで行われたパンアメリカン競技大会(以下、汎米大会)での躍進劇が、選手たちの自信を押し上げ、それが五輪への期待を一層高めている。2023年11月12日付伯字サイトが報じた。

 「達成感」――COBは汎米大会でのブラジルのパフォーマンスをこう表現した。金メダル66、銀メダル73、銅メダル66で、合計184のメダルを獲得し、総合で米国に続く2位という記録的な大会となった。この数字は過去最高成績のリマ大会を上回った。
 ブラジルに最も多くのメダルをもたらした競技は水泳の25個で、陸上競技も23個を獲得した。新体操でも団体戦、個人戦合わせて8個の金で快挙を達成。COBは、汎米大会での結果がパリでのメダルの新記録を予測する良好な兆候であるとしている。

絶対の注目を集めるギリェルメ・コスタとレベッカ・アンドラーデ

水泳のギリェルメ・コスタは汎米大会で四つの金を手にした(Wander Roberto/COB)

 スポーツ強豪国である米国は汎米大会のすべての種目に参加しているものの、最大の優先事項は五輪だと考え、汎米大会に最強選手を送り込むことは稀だ。しかし今大会では水泳は主力選手が出揃っていた。それにも関わらず、ブラジルは偉業を達成した。
 圧巻の泳ぎを見せ、大注目を集めたのは、ギリェルメ・コスタだ。彼は4つの金メダルを獲得すると宣言してチリ入りし、その目標を見事達成した。大会新記録を叩き出した400mを始め、800m、1500mで三冠を達成し、さらに4X200m自由形リレーでも優勝した。「東京で達成でなかった五輪でのメダル獲得を目指してハードに戦うつもりだ」と話す。パリ五輪では200mを追加し、5つのレースへの出場を熱望しているという。

体操のブラジル女王レベッカ・アンドラーデ(Ricardo Bufolin/CBG)

 また、ブラジル人アスリートの中で最も金に近い一人とされているのが、汎米大会では二つの金と二つ銀を獲得した体操種目のレベッカ・アンドラーデ選手だ。前回の東京五輪では、個人総合で銀、跳馬で金を獲得し、伯国体操競技初の女性オリンピックメダリストとなった彼女は、昨年10月にベルギーで開催された世界体操競技選手権大会でも跳馬で金を獲得。銀のシモーネ・バイルズ選手(米国)を大きく突き放し、歴史にその名を刻んだ。この大会では団体・個人で計5個のメダルを獲得。
 COB主催のイベントで、レベッカは五輪に向けた期待について、「重要なのは健康で幸せに競技すること。大会をベストコンディションで迎えるため、練習は欠かさない。メダルの有無にかかわらず最善を尽くす」と述べた。

新たな挑戦、新たな輝き
ライッサ・レアルの躍進

汎米大会に新しくスケートボードが加わり、初チャンピオンに輝いたライッサ・レアル(Alexandre Loureiro/COB)

 今回の汎米大会から、ブレイキン(ブレイクダンス)、クライミング、スケートボードの3種目が新しく加わった。東京五輪メダリストで、現在ストリートスケートボード世界チャンピオンのライッサ・レアルが金を獲得。同種目における初の大会チャンピオンとなった。
 銀のパメラ・ローザとのブラジル人ワンツーを決め、「私たちが望んでいたダブル入賞を果たすことができた。今はパリ五輪に向けて集中しなければならない」と次の大会への意力を見せた。東京五輪では若干13歳で銀を獲得するという偉業をなしとげ、昨年12月にサンパウロ市で開催されたSLSスーパークラウンでも大会史上最高得点(9点)を獲得して優勝し、実力を証明した。五輪でのメダルに最も近い選手の一人として、期待が高まっている。

柔道とボクシングの活躍にも期待

2016年リオ五輪で金メダルを獲得したラファエラ・シルバ選手(Roberto Castro/Agência Brasil, via Wikimedia Commons)

 柔道でも伯人選手の活躍はめざましく金7、銀3、銅6、合計16個のメダルを獲得し、過去最高の成績を収めた。女子57キロ級で金を獲得したラファエラ・シルバはこのタイトルにより、汎米大会、世界選手権、五輪で優勝した初の柔道選手になった。
 ボクシングも大健闘した競技の一つだ。全13回の出場チャンスのうち12回でメダルを獲得。うち4つの金は、すべて女性選手によるものだった。チームのヘッドコーチであるマテウス・アルヴェス氏は、「女子チームにはとても満足している。ブラジルはトレーニングへの投資、国外の大会参加、給与の見直しなどで大きく進化した。東京五輪の成功を繰り返す自信がある」と語った。

野球代表の期待されるロサンゼルス五輪デビュー

汎米大会で気合を入れるメンバー(ブラジル野球連盟提供)

 汎米大会で感動を提供したのが野球代表だ。ベネズエラとの試合では、世界第4位の実力を持つ相手に3対1で勝利し、キューバやコロンビアなどの強豪に対峙しながら、トーナメント進出を果たすなど、ブラジルの野球史上初の偉業を達成した。決勝でコロンビアに敗れたものの、見事に銀を獲得した。
 ただし、パリ五輪では実施種目から外れる。28年のロサンゼルス五輪では復活が決定しており、現在の高いパフォーマンスを維持しつつ初の出場への期待が高まっている。
 この他にも、汎米大会の卓球混合ダブルスで銀を獲得したヴィトル・イシイとブルーナ・タカハシの日系コンビや、サーフィンのフィリッペ・トレド、バレーボールや女子サッカーなどが既に五輪出場を決めており、ブラジル選手の活躍から目が離せない。

汎米大会の卓球混合ダブルスで銀を獲得したヴィトル・イシイとブルーナ・タカハシの日系コンビ(Foto: Rafael Bello/COB @rafaelreichert)

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